日本酒消費額の全国1位はどこ? 九州のあの市に初の栄冠

年間消費額1位は意外な市に

さっそくですが、問題です。昨年、日本で一番日本酒の消費額が多かった地域はどこでしょうか? 秋田? 福島? それとも新潟?

総務省統計局の「2018年の年間家計調査報告」によると、正解はなんと佐賀。九州といえば焼酎のイメージがありますが、意外なことに佐賀でも日本酒が多く飲まれているのだそうです。

人気の「鍋島」「七田」を生み出す地

正確にいうと、この調査は各都道府県庁所在地の、一世帯あたりの清酒の消費支出金額を集計したもの。佐賀市は前年比219.9%の9889円と急激な伸びを見せ、並み居る強豪を抑えてトップとなりました。

2位は秋田市、3位は福島市。次いで水戸市、富山市が続いています。昨年トップの新潟市は前年比72.6%で、順位を6位に下げました。ちなみに九州・四国勢でトップ10に入ったのは佐賀県だけでした。

一世帯あたりなので、単身世帯の多い地域は不利かもしれません。来年はどうだろう、という気もしますが、まずはよしとしましょう。佐賀県が全国的にも人気のある日本酒を生み出している酒どころなのは、間違いのない事実なのですから。

代表的な銘柄は、佐賀県鹿島市に蔵を構える富久千代酒造の「鍋島」でしょう。国内の新酒鑑評会のみならず英国インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)や全米日本酒鑑評会でも上位入賞経験のある、国際的にも評価の高い日本酒です。

佐賀県小城市の天山酒造が醸す「天山」は、県外では「七田」として人気です。こちらも「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」やIWCのほか、フランスやスペインのコンペで上位入賞。このほか、県内には20軒以上の酒蔵があります。

全国初の「日本酒乾杯条例」を制定

明治時代には700もの酒蔵があった

佐賀の酒は、爽やかな甘味とスッキリしたキレが特徴。酒造りといえば東北が盛んというイメージがありますが、なぜここまで層の厚い酒造りが行われているのか。佐賀県政策部広報広聴課の楢崎政彦さんにお話を聞きました。

「佐賀県内には日本最古の縄文時代の水田跡があるように、長い稲作の歴史があります。そのうえ良質な水にも恵まれており、日本酒造りには適している土地だったんですね」

江戸時代には佐賀藩主の鍋島直正公が、農閑期に余剰米を使った日本酒造りを奨励。明治期には700もの酒蔵があったといわれているそうです。

行政の後押しも積極的です。2004年には県主導でボルドーワインの原産地呼称統制法を参考にした「原産地呼称管理制度」を導入。100%県産の原料を使った佐賀の酒の味や香りを審査し、「The SAGA認定酒」と呼ぶ活動も行っています。

2013年6月には「佐賀県日本酒で乾杯を推進する条例」を制定。これは県としては全国で初めての取り組みでした。10月1日の日本酒の日には、午後7時に日本酒で一斉に乾杯するイベントを行い、毎年7000人以上の県民が参加しています。

「7000人といえば県民の約0.85%ですから、東京都民に置き換えると10万人以上が参加したことになります(笑)。この数字から、このイベントがどれくらい佐賀県民に根付いているか分かっていただけるかと思います」(楢崎さん)

期間限定の「SAGA BAR」も

「SAGA BAR」の運営イメージ(佐賀県提供)

このほか、6つの酒蔵がある鹿島市内で、市観光協会と酒蔵が連携し、歴史的な街並みを活かした「鹿島酒蔵ツーリズム」を開催。2019年には、なんと10万人近くが来場したというから驚きです。

日本酒を使った地域活性化の取り組みが、ここまで本格的に行われている地域も珍しいのではないでしょうか。年間消費額日本一はまぐれではなく、これからも更に伸びそうな気がしてきます。

このような盛り上がりを受け、6月27日から来年3月中旬までの期間限定で、佐賀を体感できる「SAGA BAR」がJR佐賀駅にオープン。佐賀の酒やおつまみを味わえるテイスティング・スポットのほか、有田焼や唐津焼、肥前びーどろ、諸富家具などの伝統工芸品に触れられるコーナーも設けられます。

都内でも佐賀のお酒を飲むイベントが開かれています。6月14日には「第13回探そう!美味しい佐賀の酒in東京」が原宿の東郷記念館で開かれます。興味のある方は佐賀県酒造組合が運営するフェイスブック「さが酒ファンクラブ」をフォローしてみてはいかがでしょうか。

 

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