台湾の人気ブロガー、ゲームマニア日本男性との結婚と離婚を語る「人生よくなるための再出発」

接接さん(撮影・吉野太一郎)

台湾の人気ブロガーでコミックエッセー作家のジェイジェイ(接接)さんは、仕事で知り合った日本のゲームマニアの男性に一目惚れして国際結婚。日本人と接して感じた驚きをつづった本が台湾で人気になりました。しかし男性とは12年にわたる結婚生活の末、2年前に離婚。やや風変わりだった結婚生活を、「今は100%充実しています」と振り返りました。

「色白でシュッ、キュンとなった」

接接さんはFacebookで17万人のフォロワーがいます。元夫との日々をつづった漫画『接接在日本』は台湾で4巻まで出版され、日本でも『台湾から嫁にきまして。』(中経出版)のタイトルで翻訳出版されました。

台北のゲーム会社でデザイナーをしていた接接さんが、同じ会社の日本法人から出張でやってきた「大王」に出会ったのは2004年のこと。「色黒でガッチリした体格の台湾男性と違って、色白でシュッとしてて、キュンとなった」。何とか連絡を取る口実を作ろうと、興味もないのに「日本のフィギュアが欲しいんだけど送ってくれませんか?」と頼みましたが、あっさり拒否されます。

しかし当時よく使われていたメッセンジャーソフトのアカウントを交換することに成功。チャットでたわいない会話をやりとりするうちに、2人の仲は深まっていきました。可愛く見せようとウェブカメラを導入し、オフィスの片隅にライトを設置すると「大王が私の家族関係とか、個人的なことを聞いてくるようになった。反応が変わったと感じました」。

クリスマスに接接さんが東京の大王を訪れ、2人の交際は正式にスタート。翌2005年3月、接接さんは会社を辞めて、東京で大王と暮らし始めます。1年後、ビザの期限が近づき「これからどうしよう」と相談した接接さんに、大王はプレステをしながらこう言いました。

「しょーがねーな。籍入れよっか」

「籍を入れる」とは入管の手続きか何かだと思っていた接接さんでしたが、翌日、大王と役所を訪れて渡された書類に「結婚」とあるのを見てびっくり。その素っ気ないプロポーズに複雑な思いがしたものの「今思えば、照れ隠しだったんだと思います。表に出さないけど本当は優しい人。人前でベタベタする『バカップル』が当たり前の台湾人には新鮮でした」。

大王の援助で日本語学校に通い、日本の会社でゲームデザイナーとして働き始めると「乾杯の音頭や1本締め、3本締め、熱があっても『冷えピタ』を貼って働く同僚。そういう姿にカルチャーショックを受けました」。

接接さんの台湾での著書と、日本で翻訳出版された著書

家族に近況を伝えるつもりで書いていたブログが台湾で話題となって、2010年に書籍第1弾が発売。オンライン書籍購入サイト「博客來」でコミックエッセージャンル1位になるなど、人気を集めました。

「ゲーム部屋を手に入れ、彼は変わった」

転機は2011年1月。勤めていた会社がゲームデザインの部門を北九州市に移転することになり、九州に引っ越すか、台湾に帰るかの選択を迫られます。迷った接接さんは大王に相談しますが、大王は「ゲームプロデューサーをめざしたい。台湾ならチャンスがあるかも」と、台湾移住を決断しました。

接接さんは、元の会社の台湾支社立ち上げスタッフとして、日本と台湾を行き来しながら、2014年2月に台北に移住します。その後、マンションを購入したことで「彼は変わった」と接接さん。念願の「ゲーム部屋」を手に入れた大王は部屋でゲームにのめりこみ、会話がどんどん減っていきました。「一緒に暮らしているのに、食事も別々になってしまいました」

「これじゃルームメイトやん」

接接さん(撮影・吉野太一郎)

2014年のクリスマス、交際開始から10年の記念日に、接接さんは大王に言いました。「これじゃルームメイトやん。もっとお互いコミュニケーションをとって、恋人みたいな関係になりたい」。でも大王の理想の夫婦は「空気のような関係」。関係を密にしようと接接さんが努力すればするほど、大王は「うざい」と感じ、溝は広がる一方でした。

「これからの10年もルームメイトでいたくない。『離婚』の手続きは重いけど、今リセットすれば、まだお互い残りの人生を楽しめる」。2人は2年間に及ぶ話し合いの末、2017年に離婚が成立しました。「楽になりました。彼に優しくできなくて、妻として罪悪感があったから」

台湾では、離婚手続きに夫婦1人ずつの証人が必要です。共通の仲良し友人と計4人で役所を訪れた接接さん夫婦は「最初から最後まで、4人でずっとケラケラ笑いながら手続きしてた。役所の人が『本当に離婚ですか?』って驚いたほど」。

「今もみんな仲良し」

台湾を気に入った大王は現在も台北市内に住んでおり「LINEで私に宅配便の問い合わせも来ます。大王の親族ともLINEでつながっていて、今でもみんな仲良しです。共通の友人も多く、離婚前と本当に関係が変わっていなくて、ちょっと悲しいくらい」とのこと。

不安はなかったのでしょうか。「離婚1年目はすっごく将来が不安だったけど、不安の要因は肉体の衰えか経済面。よく考えると、肉体は結婚していても衰えるし、経済面でも結果は一緒だった」

大王との結婚生活を楽しみにしていた接接さんのファンには、離婚して1年間は公表できませんでした。「私の友人、特に女性は、離婚したくてもイメージが悪いので、思いとどまっている人が多い。でも離婚でよい方向に変われるなら、それはよくなるためのステップだと前向きにとらえられると思います」

5月20日から発売された接接さんのLINEスタンプ

今はキャラクターデザインやネットメディアへのコラム執筆を仕事にしている接接さん。47都道府県を接接さんの視点で紹介したLINEスタンプも発売しました。第1弾は北海道の特産品や方言などを折り込んだ約40種類で、今後、全47都道府県を紹介していくとのことです。

「日本のいいところを台湾人に伝えていきたい。優しさや思いやり、そしてふるさとへの愛情。『爆買い』だけじゃない魅力があるんだよって」

 

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