「彼は私をどう思ってるんだろう?」そう考えるだけで幸せ…アラフィフ女性の「ゆっくりな恋」

人間は何歳になっても恋をする生き物

密かに思いを寄せている相手からメールが届いただけで嬉しい。まるで中学生や高校生の恋バナのようだが、人はいくつになっても恋をする。今年50歳を迎えた森上早苗さん(仮名)もその一人だ。

目の前に座ったショーケン似の60歳に一目惚れ

「街でカップルを見かけると、これまでは悔しい気分になっていたけど、今は違う。私だって恋をしてるんだからって、心に余裕ができたの」。早苗さんは目を輝かせながら語る。

東海地方でリラクゼーションサロンを経営する早苗さん。30歳のときに結婚して、2人の子供を授かったが、5年で離婚。その後、39歳で再婚するも、わずか1年で破綻した。

2人目の夫は、まったく仕事をしないダメな男だったが、早苗さんは大好きだった。別れた後も1年くらいは何かと理由をつけて会っていた。しかし、このままでは前へ進めないと、思いを断ち切った。以来、恋愛には臆病になっていた。

今年1月、ある整体師のグループが主催する勉強会に参加した。終了後の懇親会でたまたま目の前に座っていた男性に恋をした。まさに一目惚れだった。

「芸能人に例えるなら……。真面目なショーケン(俳優の萩原健一さん)みたいな。若い頃は一目惚れが多かったんだけど、久しぶりにそんな感覚を味わったわ。懇親会には少し遅れて参加したんだけど、彼の前の席しか空いてなかったのよ。しかも、お酒を飲むのは彼と私しかいなかったの」

グラスを傾けながら話をする中で、彼の年齢が60歳であることや東京で整体治療院を開業していることがわかった。患者に経済的な負担をさせないということを治療のポリシーにしているそうで、その姿勢にも惹かれた。

近いうちに治療してもらうということを口実に携帯のメアドを交換して、その日は別れた。

銀色の指輪が右手の薬指にはめられていた

大勢いるファンの一人にはなりたくない

3月になり、早苗さんは彼の治療院に予約を入れて訪ねた。もちろん、会いたいという気持ちもあったが、少し体調を崩していたこともあり、彼がどのような施術をするのか興味もあった。

治療院で働いている女性に「先生、カッコイイですよね」と話を振ると、彼女はとても嬉しそうな表情を浮かべて、彼がここを訪れる患者たちからいかにモテているかを話し出した。彼女もまた、ファンの一人だという。

施術中はまさに夢見心地だった。ヘンな気分にはならなかったが、体を触られることでますます好きになった。その日の夜、彼は食事に連れて行ってくれた。勉強会のときよりもざっくばらんに話すことができた。

そのとき、彼には奥さんがいるということを知った。

「素敵な人だから、奥さんがいるとは思っていたけどね。だから、自分から本気で彼に迫るのはいけないと思った。とはいえ、彼を追いかけているファンの一人にはなりたくないっていう気持ちもあるわよね。同じファンでも、出待ちのときにいちばん大きな花束を持っているのが私。『あっ、あの子また来てる』って、私という存在を認めてほしい」

先を急がず、ゆっくりと楽しむのがアラフィフの恋

帰宅後、体調についてメールで相談するようになった。早苗さんからの発信が多いものの、彼からメールが届くこともあった。それも空の写真が添付されていて、メッセージには「今、京都にいます」のひと言だけ。わざわざ自分に送ってくれたと思うと、胸がときめいた。

年相応の穏やかな恋もある(Photo by Getty Images)

「若い頃だったら、彼を追いかけて京都へ行ってたかもしれない。この年齢になると、無責任に仕事を放り出すことはできないわよ。『ステキな写真ですね』と、私も空の写真を撮って返信しておいた。でも、もしも、私の住んでいるところに来たら……。きっと、行くわね。それで一線を越えても構わない。奥さんと別れてほしいなんて望まないから、セックスも楽しめると思う」

中立公平な目で見て、彼の方から連絡があるのは、早苗さんに好意を持っているからだろう。ただ、その真相は本人に直接聞いて確かめるしかない。恋をすると先を急ぎたくなるものだが、早苗さんはのんびりと構えている。彼が自分のことをどう思っているのか、気にならないのだろうか。

「それは気になるけどね。でも、今の状況も十分楽しいの。今後、私たちはどんな展開になってくのかを考えただけでワクワクするし。逆に私の片思いで終わってもいいの。これも年齢のせいかもしれないわね。彼に恋をしてからホルモンが活性化しているような気がするし(笑)」

恋をする自分に恋をしているようにも見えるが、酸いも甘いも噛み分けた年齢だからこそ、それを楽しむ余裕があるのだろう。嬉しそうに話す早苗さんからパワーをもらったような気がした。

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