結婚できないのは「選びすぎ」だから? 38歳独身男性が語る「マッチング」の難しさ

結婚観について率直に語ってくれたケンジさん

「結婚願望はあるけど、出会いがない」「ご縁がない」「いい人がいない」。独身の男女がよく口にする言葉ですが、彼ら彼女らは、なぜ結婚に至らないのでしょうか。結婚願望を抱きつつも、相手が見つからないというケンジさん(38歳)に話を聞きました。

ケンジさんは関東地方で医療関係の仕事をしていて、見た目は塩顔のフツメン。話し方や雰囲気は穏やかです。ただ、”婚活疲れ”のためか、表情には疲労感もにじんでいます。聞き手の私も同年代の独身男性。他人事ではありませんでした。

子供や奥さんのために生きたい

――結婚に対する思いを聞かせてください。

ケンジ:わかりました。これ、記事になったら「こいつ理想高すぎ」「だから結婚できないんだよ」とか、いろいろ言われちゃうかもしれないですね。まあ匿名ですし、別に構いませんが。

結婚願望は20代の頃からあります。やっぱり子供も欲しいし、奥さんができたら、その人を大事にした生活をしたい。家庭のために生きるっていうことに、すごく憧れがあるんです。仕事にももっと身が入ると思いますし、子供や奥さんのために生きることができれば、何よりも生きている実感がわくと思うんです。

――40歳近い年齢になりましたが、焦りとかもありますか?

ケンジ:焦りはあります。子供が欲しいと思っているから、子作りを考えたら早くしないといけない。でも、選ばれる立場としても、自分はどんどん不利になっていると自覚しています。考えすぎると精神的に参ってしまうので、最近はなるべく気楽に構えるよう意識していますが。

――ずっと独身ではダメですかね?

ケンジ:やっぱり子供が好きだから、自分の経験や学んできたことを、自分の子供に伝えていきたいと思うんです。友達や親戚の子供を見ていると、そう思います。大事にできる奥さんも欲しいけど、愛情をかけられる子供も欲しいです。

あと、今のまま生きていったら、ずっと同じような経験しか積めないと思うんです。でも、結婚して家庭を持ったら今までとは全然違う経験ができるだろうし、子育てを通して自分自身が成長するだろうと思います。子供のいない人生を選ぶのは、人生のなかの味わえる要素を一つ失っている気がするんです。

ファッションや髪型なども、”ごく普通”に感じられました

慎重すぎて婚期を逃した?

――今までに結婚のチャンスはなかったんですか?

ケンジ:ありました。お付き合いをして結婚を考えた相手も何人かいたんですが、「なんか違うな」と思って、結局別れてしまったんです。今は3年近く、交際相手がいないです。

――どういうところで「違うな」と思ってしまったんですか?

ケンジ:フリーターで将来のことを全然考えてなくて、その日暮らしみたいな生き方を見て、不安を感じてしまったりとか。あとは別のコですけど、どこか考え方がネガティブで、僕の家族と最初から距離を置きたがったりするコとか。「こんなに気になるところがあるのに、一生一緒にいるなんて無理かもしれない」と、不安になってしまったんです。今思うと、結婚に対する理想像が大きすぎたのかもしれません。

――理想が高いんですかね?

ケンジ:どうなんでしょうね。理想を言えば、すごく好きな相手、すごく大事にしたいと思える人と出会って一緒になれたらいいな、と思います。結婚はしたいけど、嫌な相手とだったら一緒にいたくはないですし。結婚って、一生一緒にいることが前提だから、やっぱり妥協はしたくないんです。いやまあ、この年齢だし、ある程度の妥協はするつもりなんですが……。

最近は、「絶対この人だ!」という相手とは、最初から一緒になれないのかもなと思うようになりました。向こうも僕のことを最初から完璧だとは思わないでしょうし、一緒にいるうちにだんだん分かりあっていけたらいいなと。最初からすごく幸せというのではなくても、だんだん幸せだなあと感じていけるようになればいいのかな。

「婚活パーティー」で抱く絶望感

――婚活パーティーとかは、行かないんですか?

ケンジ:正直に言うと、行くたびに「もういいや」って思ってしまいます。明らかに売れ残りというか、残念な感じの人が多くて「ああ、自分にはこんな相手しかいないのか……」って落ち込みます。話し方やコミュニケーションの取り方がヘンだったり、視線を合わせられない人や極端な体型の人も多いです。

でも、それは女性たちも僕に対して思っていることかもしれないし、ひょっとしたら、参加者全員が同じことを思っているのかもしれない(笑)。そんなストレスのなかでのパーティーなんですよ。

しばらく行かないでいると、「今度こそ奇跡が起こるんじゃないか」「いいコと出会えるんじゃないか」という気がして、もう一回行って、また後悔して帰ってきます。その繰り返しですね。

”普通の人”でも結婚できない(しない?)時代なのかもしれません

――マッチングが難しいですよね。

ケンジ:僕自身に魅力がないのもあるんでしょうけど、結婚に対する理想が高すぎて、夢を見てしまっていたのかもしれないですね。それで慎重になりすぎてしまったのかなあ。

でも、離婚するとか怖いし、嫌ですよ。子供ができてからだと、そう簡単に離婚なんてできないじゃないですか。離婚したくてもできないなんてことになったら、一生を無駄にしちゃうんじゃないかっていう気がします。

「選びすぎ」は良いのか悪いのか

――ストレスを抱えて結婚生活を送るぐらいなら、独身のままのほうがいいっていうのは、私もよく分かります。

ケンジ:周囲を見ていても、幸せな結婚生活を続けている夫婦って、1〜2割ぐらいだと感じます。3割は離婚しているし、残りの5割は「子供のために結婚生活をイヤイヤ続けている」みたいな人たち。旦那や嫁への愚痴と不満、「子供がいなかったらとっくに離婚している」なんて話ばかりです。「結婚は勢いが大事」って言われますけど、「勢いで結婚したからそういうことになるんじゃないの?」とも思います。

――一理あるような気がします。

ケンジ:周囲からはよく「選びすぎだよ」って言われるんですけど、そのアドバイスはちょっと納得できないんですよ。夫婦関係がうまくいってない人から「選びすぎだよ」って言われると、いやいや、選んだほうがいいでしょ、と思います。結婚相手を選ぶのって、当たり前のことだと思うんですよ。

――「選びすぎ」は私もよく言われます。

ケンジ:結婚に対する価値観の違いもありますよね。とにかく結婚できればいいという人もいるだろうし、結婚相手のことが大好きでなくても、大嫌いでなければOKという人もいる。求めているものや目標がそれぞれ違うのに、自分の価値観で「なんで結婚しないの?」とか「選びすぎだよ」って言われても、いや、目標が違うからって思います。「結婚イコール幸せ」だったら、誰でもいいから結婚したほうがいいでしょうけど、実際は、結婚した先にずっと人生が続いていくわけですから。

僕の場合は、本当に好きだ、大事にしたいって思える相手と結婚したいんです。それで相手のことを幸せにしたいと思って生きていけたら、自分の人生は本当に幸せだと思えるはずなんです。心から好きだと思える相手も過去にはいたんですが、既婚者だったり子供がいたりして、恋愛対象にはできなかったんですよね。

本当に好きと思える相手と一緒にいたいなあ……。それって、普通に考えたら当たり前じゃないですか。だから、「選びすぎだから妥協して早く決めろ」っていうのは、ちょっと違うんじゃないかなと思います。

婚活疲れのためか、ちょっと肩も落ちているようでした

結婚をあきらめる日

――昔は「結婚するのが当たり前」だったから、不本意な結婚も多かったのかもしれない。今はお互いに相手をじっくり選んで、マッチングした相思相愛のカップルだけが結婚するという時代になってきているのかもしれないですね。

ケンジ:結婚しないという選択肢もあるし、世間体みたいなものは、それほど気にならなくなっていますからね。昔は、我慢して結婚生活を続けていた人も多かったのかもしれません。

ところで、最近は誰と飲みに行っても、こういう結婚とか婚活の話になるんですよね。心配してくれているんだろうな、とは思うんですが、ちょっと精神的に疲れるときもあります。自分の過去や将来についてすごく掘り下げて聞かれるから、「自分って結婚できてないんだなあ、ダメなのかなあ」って思わされてしまう。

なんだか「現実見ろーっ!」と頭を押さえつけられているような感じがして、家に帰ると「はー、なんか今日疲れた……」って思うことも多いです。

――今日もかなり掘り下げてしまって、すみません。

ケンジ:いえいえ、今日はアドバイスがないぶん、楽でした。周囲の人たちがいろいろアドバイスをくれるのは有難いんですけど、「でも価値観が違うからなあ、その通りにはできないなあ」と思って、申し訳ない気がするんです。

――今後、一生独身だったらどうしますか?

ケンジ:きっと、どこかで気持ちを切り替えることになるでしょうね。「あ、もう楽しまなきゃ」って。いつまでも結婚、結婚って悶々としていたら、その時間がもったいないですから。何歳だろう、50歳かな。いや、45歳ぐらいで一回あきらめるかもしれないです。

取材を終えて

「相手を選びすぎ」というのは私もよく言われるので、ケンジさんの気持ちは結構分かる気がしました。選びすぎては結婚できないし、かと言って、選ばなすぎて失敗するのも嫌だし……。「結婚とはクジを引くようなものだ」という言葉を、小学生の頃にギャグ漫画『あさりちゃん』で見た覚えがあるのですが、今になると、切実に響きます。「選ぶ」って、難しいですね。

 

TAGS

この記事をシェア