「マイノリティであることで悩んだことはない」LGBTイベントを訪れたレズビアンに聞く

「レインボープライド」に参加するのは3年ぶりというSさん

中国で生まれ育ち、大学進学を機に日本へやってきたSさん(31歳)は、左利きで、レズビアンです。マイノリティ(社会的少数派)の面をいくつも持つSさんですが、「私は自己肯定感が強いので、そのことで悩んだことはない」と言います。

4月27日から3日間、東京・渋谷区でLGBTをはじめとする性的少数者のイベント「東京レインボープライド2019」が開催されました。28日の午後には、LGBTの当事者ら約1万人が渋谷の街をパレード。イベント会場では、さまざまな団体のブース出展やステージパフォーマンスがありました。

その会場で、Sさんに話を聞きました。「私の話は参考にならないと思いますよ」と言いつつ、自身の経験を語ってくれたSさん。現在、東京のあるIT企業で働いています。Sさんはマイノリティであることで、生きづらさを感じることはないのでしょうか?

両親には「なかったこと」にされた

ーーSさんのセクシャリティを教えてください。

S:「シスジェンダー(身体的性別と性自認が一致している人)」のレズビアンです。生まれつきの体の性別と、自分がどういう性別であるかの認識は一致しています。

ーーつまりSさんの場合は、自分の身体に対する違和感がない。

S:そうです。女性の体で生まれてきて、自分でも女性だと思っている。だけど、女性が好き。女性として女性が好きなんです。

ーー自身が性的マイノリティであることに気づいたのは、いつですか?

S:思春期に入り始めたときですね。男性にはまったく興味ないなって思って。恋愛感情を抱くのは、女性のほうだなと。

でも、みんな何かしらマイノリティの部分を持っていると思うんですよ。私にはわかりやすいマイノリティの部分があることによって、人のことを思いやるきっかけになってると思います。当たり前だと思っていることが当たり前じゃないこともあるんだって。

だから私は、セクシャリティで苦労したことはあまりないですね。親を悲しませたくらいでしょうか。

ーー両親もSさんがレズビアンであることを知っているんですね。

S:知ってるんですけど、認められてない。「なかったこと」にされてます。実家に帰ったとき、母親に「いい歳なんだから、いい人を見つけたら」みたいなことを言われて。「いやー、実はね」って話したわけです。そのときは「あんたが幸せならそれでいい」って反応だったんですけど、その後もふつうに「いつ彼氏を連れて帰るの?」とか言ってくるんです。なかったことにされている(笑) あとはもう、「はいはいはい」って流してます。

「レインボープライド2019」のパレード

ーー結婚については、どう考えていますか?

S:結婚にはあまり魅力を感じていないんです。もし結婚できる権利があったとしても、変わらないと思います。LGBTに限らず、30代後半になると「いつ結婚するの?」って言われるじゃないですか。余計なお世話だっていう。結婚したい人は結婚すればいいし、したくない人はしなければいい。そこは性別とかセクシャリティとか関係なく。

世の中は9割の人が使いやすければいい「ただ残り1割がいることを忘れないで」

ーー外国籍であることや左利きであることで、生きづらさを感じたことは?

S:日本に来てまもない大学生のころ、飲食のバイトをしていて、キッチンのほうに入ろうとしたとき、「あの子は何を言っているのかわからない」みたいに悪口を言っているのが聞こえてきて。悔しいなって。

あと、言葉がわかっても背景がわからないってことがありました。日本語として理解できるけれど、その言葉の歴史とか背景がわからない。たとえば、日常会話のなかでお笑い芸人のネタが使われる。すると、日本語として理解できるんだけど、どういうものかわからなくて。その疎外感は強くありました。

ーー左利きも大変だって言いますよね。ハサミとか、コーヒーカップとか。

S:日常生活でそんなにハサミ使います?(笑) レストランとかに行くと、お箸が右利きの人の方向で置いてあるじゃないですか。それは自分で直しますけど、「そりゃあね」っていう。9割の人が使いやすいように置けばいい。変える必要はないと思うんです。

合理的に考えれば、駅の自動改札でも9割の人に寄せたデザインにしたほうが絶対、多数の人が幸せになれる。ただ、残り1割もいるってことを忘れないでほしい。みんなこうなんだっていう決めつけさえなければ、それでOKなんで。そうだよね、そういう人もいるよねって。

ーー自分たちだけが我慢しなければならない、という思いはない?

S:それはないですね。たぶん、すごく自己肯定感が強いんです。カミングアウトが怖いとか、人に知られるのが怖いって言うじゃないですか。私はそれが全然怖くなくて。そのことで「えっ」ってなるような人だったら付き合う必要はないと、私は思っているんです。私の価値観とは合わないなと。いま働いている会社では全然そんなことはないんですけど、もしそれで差別されるような会社だったら辞めてやると思いますしね。

ただ、おそらくですけど、トランスジェンダーの人たちには、私が知らない大変さがいっぱいあるんだろうなと思います。そこはまた別のハードルになると思うんで。

ーーSさんにとって、日本のほうが暮らしやすいとか、中国のほうが暮らしやすいと感じることはありますか?

S:日本に来て10年以上経っているんで、中国が今どうなっているのか、正直、わからないんです。ただ私は、自分で自分が生きやすくなるようにするんで、たぶんどこにいても快適に生きていけると思います(笑)

「レインボープライド2019」パレードに参加した各団体の代表たち

 

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