離婚経験はマイナスではなく「キャリア」 再婚マッチングサービスの起業家が考える「バツイチの強み」

離婚経験はマイナスではなく「キャリア」(Photo by Getty Images)

厚生労働省の人口動態統計(2017年)によれば、婚姻件数60万組に対し、離婚件数は21万組に達しました。つまり、結婚した3組に1組が離婚する時代です。そして、婚姻件数の約3割は「再婚」とされています。

このような時代背景を受けて誕生したのが「離婚経験者専用」のマッチングアプリ『remarry(リマリー)』です。

サービスを開発したのはmorrow合同会社CEOの米田昌弘さん。米田さんは2007年に起業して気象災害や不審者情報など緊急性の高いメッセージングサービスを構築。事業は拡大し上場準備を進めていましたが、2016年M&Aに応じて同社を売却しました。

その後、現場を離れリフレッシュしていたとき、「離婚」というキーワードにたびたび向き合うことになったと話します。

「バツイチ」は果たしてマイナス経歴なのか

——離婚経験者専用マッチングアプリの開発の経緯について教えてください。

米田:現場を離れて身軽になったこともあり、経営者仲間から離婚問題の相談を受けることが増えました。ベンチャー企業では経営者がワーカホリック気味になることも多く、そのため離婚危機に陥るケースも少なくありません。調べてみると「3組に1組は離婚」という驚愕のデータも存在し、離婚は特別なことではないと思われる中、「バツイチ」という言葉の響きに違和感を感じるようになりました。

離婚経験者専用のマッチングアプリ『リマリー』

——どの辺りに違和感を感じたのでしょうか。

米田:生涯未婚率が高まる中、結婚以上にパワーを要する離婚まで経験していることは、人生において大きな経験値です。もはや離婚は、マイナスイメージではなく、「キャリア」ではないかと考えるようになったのです。生活、働き方、考え方などが多様化する時代において、離婚がマイナスの経験としてとらえられるのではなく、「バツイチ」ではなくて「プラスワン」、また「離婚はキャリア」と思われる社会になるべきという思いが強まりました。

——離婚経験者専用のマッチングサービスの必要性を感じたわけですね。

米田:そうです。また、この事業を考えるようになって「2度目はもっとうまくいく」という思いも強くなりました。これは結婚に限ったことではなく、起業においても同じだと感じています。自分自身がシリアルアントレプレナー(連続起業家)なので、日頃から実感していることなのですが、1度目の経験を活かして、2度目はもっと落ち着いて、思慮深く、かつ、大胆に行動できる。そういう意味では、起業と再婚には似たような印象を感じています。

——離婚経験者は再婚に対して、何を最優先に求めていると感じられますか。

米田:そのテーマは特に重要と考え、サービスの設計時に30代から50代の男女30人からサンプリングを行いました。回答はさまざまで、離婚経験者の方々は離婚の経緯や家族環境の変化、子供の有無、離婚後に背負うべき責任の有無など一人ひとりが抱えている環境が異なり、再婚に対しての優先順位もさまざまです。

その中でも、比較的、共通項として多かったのが「価値観の合う人」という意見でした。外見や経済的な問題も無視できないけれど、それよりも価値観を共有したいという意見が多数ありました。将来的には再婚した相手、もしくは再婚でなくとも新たな人生のパートナーとなる人と過ごしていく上で、価値観が共有できれば揉めることも少なく、お互い寄り添って生きていけると感じているようです。

『リマリー』ではマッチング成立後のトークは「ひとり」とだけ可能。ひとりと誠実なコミュニケーションがとれるという

——離婚経験者に対して気になるのは「離婚の原因」です。それはプロフィールで開示されているのでしょうか。

米田:その点は、再婚に向けての重要な情報となるので、できる限り正直にプロフィールに書いていただいています。あとは、マッチング成立後のコミュニケーションで上手に聞き出してもらえたらと思っています。

ひとりだからこそ感じる「幸せの共有欲」

——離婚して「ひとり」の開放感を味わう人も多いようにも思います。登録者の中には「ひとりを満喫していたのに、再婚に興味がでてきた」という人もいらっしゃいますか。

米田:サンプリングの際に「ふと心細くなったとき、再婚したいと思うようになった」という意見もありました。季節的なものや、クリスマスや長期休暇、年末年始などに心細くなったり、寂しくなったりすることが多いようです。特に離婚された方々は、幸せだったときの残像もあり、ふと表現できないような寂しさを感じたときに「誰かそばにいてほしい」「ちょっとした愚痴や本音をこぼせる相手がほしい」と思うのではないでしょうか。

一方で「パートナーと趣味を共有できれば、人生がもっと楽しくなる」というプラス要素の思いもあるようです。サッカーJリーグの観戦をしながら全国各地を旅行することが趣味という方は、訪れた場所で同年代であろう40代の夫婦を見て羨ましく思えたということでした。趣味を共有できている夫婦の姿を目にすることで、潜在的にあった再婚への想いに火がつくこともあるかもしれません。

離婚してしばらくは、ひとりを満喫し、自由を謳歌する中で幸せを感じることも多いと思います。この「幸せを感じる瞬間」を誰かと分かち合いたい、と思ったときに再婚を意識するのではないかと思います。

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離婚したからこそわかる「ひとり」の開放感、そして孤独感。これらの感情を共有し、互いに歩み寄る余裕が生まれるのが「再婚」の良さかもしれません。

 

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