日本初上陸の格闘技「ONE」女ひとりでスマホ観戦。凄まじいコンテンツパワーを感じた

3月31日開催の「ONE : A NEW ERA -新時代-」をAbemaTVで観戦(イラスト・古本有美)

新元号発表の前夜、2019年3月31日の午後10時頃、私は自宅でスマホを握りしめ、画面越しに格闘家・青木真也選手の姿を見つめていました。タックルして相手をグラウンドに倒し、上のポジションを取った青木選手。心の中でこう思いました。「ここからは絞め技や関節技を得意とする青木選手の時間だ」と。

対戦相手エドゥアルド・フォラヤン選手の頸動脈を腕で絞め続けると、それまで力が入っていたはずのフォラヤン選手の手が、ガクッとなりました。「落ちた」のです。その瞬間、TKO(テクニカルノックアウト)で、青木選手が王者に返り咲き、1ラウンド2分34秒でメインイベントは幕を閉じたのでした。

私が手に汗握り見ていたのは、アジア最大級の格闘技団体「ONE Championship(以下、ONE)」が主催する初の日本大会「ONE : A NEW ERA -新時代-」です。3月31日、東京の両国国技館で開催されました。

2011年に誕生したONEは、シンガポールやバンコク、ジャカルタ、上海などアジアの各都市を中心に大会を開催しています。

ついに日本にやってくると知ってからは、生で見ようと決めていました。でも、ONEの人気が高まっているためか、ひとり分のチケットを買うことができず、現地観戦は諦めることに。

ONEの放映権・配信権を買って配信している「AbemaTV」の格闘チャンネルで自宅観戦をすることにしました。そこで感じたONEの見どころや面白さを綴ります。

全部で16試合! 約5時間半の濃厚コンテンツ

まず、全16試合というのは、かなりボリューミーだなと思いました。他競技と比べるのはあまり意味がないですが、私がこれまで経験した限りでは、プロレスで全11試合のビッグマッチがありました。そのときは5時間を超える長丁場だったと記憶しています。

もちろん会場で観戦すると、選手の入場シーンで身体の奥底からじわっと熱くなるような興奮をおぼえたり、お腹から声を出して応援したり、選手の息遣いを間近で聞いたりと、ライブならではの醍醐味が必ずあります。

でも、長時間の観戦によって疲れてしまう人もいるかもしれません。体調や身体の疲労度によっては、映像で見たほうが良いときもあるかもしれません。もちろん今回の私のように、いろいろな理由で会場に行くことができず映像で見る人もいます。

そこで、ONEの動画配信サービスはどうなっているのだろう、と気になって調べてみました。大会オフィシャルブックやホームページによると、ONEは140カ国で放送され、視聴者数は26億人。1大会の平均視聴者数は2000万人(2019年3月時点)にもなるそうです。

入場ゲートに登場する「直前」もライブ中継

今回AbemaTVを見て驚きました。カメラワークが素晴らしいし、ステージ裏まで見せてくれるし、解説も聞ける。映像で楽しむスポーツコンテンツとしての魅力がかなり高いと感じました。

「独自コンテンツとして引きが強い!」と驚いたのは、ドレッシングルーム(支度部屋)から入場ゲートに移動する選手の様子をライブで見せるところです。「入場ゲート→花道→リング(ONEでは円形のケージ)イン」という流れの入場シーンは他の競技で見慣れていますが、その“前”のシーンを見られる機会はなかなかありません。このほかにも、国技館内を移動してドレッシングルームに向かう選手の姿や、試合前に身体を動かす選手の姿なども時折、ライブ中継され、「ここまで映してくれるの!」と興奮してしまいました。

舞台裏といえるようなシーンも撮る。もっというと、選手に付随するストーリーを見せる――。このスタンスは、ONEを立ち上げたチャトリ・シットヨートンCEOが言う「選手はファイターではなく、マーシャルアーティスト」という考え方を体現しているような気がしました。

ONE独自のルールを覚えると面白い

ルールも独自性があって興味深いです。タイトルマッチは5分5ラウンド、その他の試合は5分3ラウンドで行いますが、採点をラウンドごとではなく、試合全体でしています。もし3ラウンド戦えば、3ラウンドを通して点数を付けるのです。

素人なりに考えたのは、1ラウンドを相手を“見る”ために使って、2ラウンドから自分のペースで試合を運ぶこともできるのかな、ということ。あるラウンドでは思うような攻めができなくても、次のラウンドで挽回できたなら、逆転勝利を収めるケースも少なくないのかな、ということです。

全部で5つある判定基準もオリジナルで、一番優先されるのはKOや関節技、極め技で、どれだけフィニッシュに近づいたか。2番目はダメージで、自分が受けた分以上に相手にダメージを与え、蓄積していくことが大事で、解説では「ボディよりも顔にダメージを与えたほうが評価される傾向がある」といった話がなされていました。

グローブにも注目してほしい

ムエタイやキックボクシング、柔道、空手など、幅広い格闘技からトップアスリートが集い、各々の得意ジャンルを活かして戦う多様性も、ONEの魅力といえます。各選手の出番になると、選手名の近くに情報が出るので、どの競技出身なのかがひと目でわかります。

この日もムエタイやキックボクシングの選手が参戦していました。彼らの手に注目すると、ボクシンググローブではなく、指が露出したグローブ(オープンフィンガーグローブ)を着用していました。一般的に、オープンフィンガーグローブは、キックボクシングなどで使われるグローブよりも薄く、与えるダメージも大きくなると言われています。

第13試合の「ミドル級世界タイトル戦」では、ミャンマーのヒーロー的存在、アウンラ・ンサン選手が、長谷川賢選手にTKO勝ちしました。この試合で印象的だったのは、目元をカットしてかなりの流血が見られたことでした。これもオープンフィンガーグローブ特有のパンチ効果の高さが伝わったシーンでした。

次回はアジアの開催地にひとり観戦GO!?

できる限りパンチをもらわずに、蹴り技中心の戦い方で進めるか、タックルして寝技に持ち込むか――。選手の出自やスタイルによって、戦略はいろいろだと思いますが、ONEでは、頭と身体を使うアーティスティックな競技にふれることができます。

日本人選手が6名出場した今回のONE。第4試合「アトム級」では、ONEで活躍中の女子総合格闘家、V.V Mei選手が登場。入場ゲートに空手着で現れ、その場で相撲の四股を2回踏みました。国技館という場所と6歳からの空手経験をミックスした演出だったようです。こういった試合前に見られる、選手一人ひとりの個性も注目対象でした。

最後に。強い者同士が戦うケージの「中」を、スマホ越しという「外」から眺めていて、恐れず踏み出す勇気や立ち向かっていく覚悟を自分も持たなければ、と気持ちが奮い立ちました。格闘技を見て得たインスピレーションを、観客である私は実生活に活かしたいと思います。そして今度は、アジアの開催都市での「ひとり観戦」へGO!

 

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