女ひとり大阪遠征の目的は「大相撲三月場所」 力士が近くに見えた

エディオンアリーナ大阪に来ました

土曜の朝11時過ぎ、大阪・なんばエリアを歩いていると、甘い香りが漂ってきました。力士の髷(まげ)から香る「鬢付け油(びんつけあぶら)」の芳香です。しかし、周囲に力士は見当たらない……。

あっ、と声をあげそうになりました。私の目の前。髷を結った某新米親方が、スーツ姿で歩いていたのです。和装ではなく、付け人もいないため、大阪の街に溶け込んでいました。ただ、断髪式がまだなので、今も鬢付け油を使って髷を結っているのですね。

今回私は、エディオンアリーナ大阪で開催される大相撲三月場所を見るため、大阪にやってきました。観戦したのは中盤戦となる7日目。大阪で大相撲を見るのは初めてです。観戦はもちろん、館内もたくさん歩き回って楽しみました。その模様をレポートします。

コンパクトな会場だから、椅子席でも土俵が近くに感じられる

1階で入り待ちをする人たち

エディオンアリーナ大阪は両国国技館とは違い、正面入口がひとつしかありません。お客さんも力士も皆、そこから出入りします。

まず、入口からすぐの相撲案内所(注1)へ向かいます。相撲案内所を通して、お土産付きの観戦チケットを購入していたからです。

案内所の方がチケットとお土産を持って、席まで案内してくれます。チケットの予約・購入サイト等を利用してチケットを買い、ひとりで席まで行くのもいいですが、こういう丁寧なサービスを受けられるのが、相撲案内所経由でチケットを買う醍醐味だと感じました。

正午前の会場

今回は初めて椅子席で観戦します。「土俵からけっこう遠そう」だと思っていましたが、意外と近かったです。両国国技館(定員1万1098人)と比べて、エディオンアリーナ大阪(本場所開催時は定員約7200人)(注2)がコンパクトな会場だからでしょう。

隣席の相撲好き女性と仲良くなる

お土産セットに付いている弁当の上から一段目。豪華

私が席についたときは三段目(注3)の取組中でした。応援している若手力士の出番がこの日にあったため、その瞬間は弁当を食べる手を止めて声援します。

幕下以下の取組は15日中7日しかないため、現地観戦に行く日に推し力士の取組が行われるかどうかは運次第です。

見事、勝利。自然と「やった!」と声が漏れると、前に座っていたおじさまが振り向いて「良かったね!」と笑ってくれました。広島出身だというおじさまは、自身と同じ出身地の力士を応援しているそう。

三段にもなる豪華な弁当を食べ終わって一息ついた頃、隣の席に30代とおぼしき女性が着席しました。女性が売り子さんにアイスを注文したタイミングで、自然と会話が生まれました。

私と同じく、関東から“遠征”しているという彼女と、取組中にあーだこーだと話したり、推し力士の魅力について語ったり、ツイッターのIDを教え合ったりと、同世代の相撲好き女性として、仲良くなれたのが嬉しかったです。

ひとりで来ていると、このような出会いが毎回必ずと言っていいほどあります。これもまたひとり観戦・ひとり遠征の魅力だと感じてなりません。

「入待ち」や「出待ち」がしやすい! 力士との距離の近さも大阪の魅力

1階にある撮影スポット。2階にもいくつかスポットあり

ずっと座りっぱなしも疲れるので、館内をぶらぶらと歩き回ります。会場は地下1階が食堂、1階がエントランス、2階がマス席や砂かぶり席、3階と4階が椅子席や自由席になっていて、両国国技館とは造りが違いました。

支度部屋へ入っていく関取

2階には、東と西の花道奥に支度部屋があります。1階から階段を上ったすぐのところで、角に売店がある場所です。「東方支度部屋」「西方支度部屋」と紙が貼ってあります。

エントランスや支度部屋前で「出待ち」をするときは、通行する力士の邪魔にならないよう所定の位置に立つ。この線から出ないようにするのがマナー

全力士が待機し、身支度や準備運動などに使う控え室。その付近にはお客さんがたくさんいました。特に関取が会場入りする時間帯からぐっと混み合います。私もそこに待機します。

支度部屋から花道へ向かう力士。奥に見える赤い通路内でウォーミングアップする力士も多数いた

これから取組に向かう力士、取組を終えて戻ってくる力士、さらには入口から着物姿で入ってきて、廻しを付けて出て行く関取の姿を間近で見られる絶好のスペースです。

お客さん全員に配られる「本日の取組表」を参照して、お目当ての力士が東方・西方どちらから登場するのかチェックしておけば、支度部屋前で声をかけたり、見守ったりすることができます。

14時台後半頃でしょうか。横綱・鶴竜関が付け人と共に会場入りし、支度部屋へ向けて階段を上ってきました。目の前に横綱! その瞬間、私の心臓はびっくりするくらいの音で鳴り始めました。一言で言うと「ハートが暴れ回る」感じ。

“かわいい横綱”である鶴竜関も好きな力士のひとりですが、鶴竜関以上に応援している力士がいます。それなのに呼吸が苦しくなるほど鼓動が速くなったのは、横綱特有のオーラ、背負うものの大きさに圧倒されたからだと思います。なんとも神秘的な体験でした。

広範囲を俯瞰的に見る楽しさ

けっこう近い。写真は十両の取組。人がだいぶ増えた

地下1階〜3階まで館内を思う存分に歩き回った後、自席へと戻ります。観戦中は土俵上とその周辺を俯瞰(ふかん)的に見られる楽しさがありました。

たとえば、期待される若手有望株のひとり、幕下・納谷さん(元横綱・大鵬を祖父に持つ)の取組前には、カメラマンがわらわらとやってきて、5〜6人が土俵下にスタンバイ。

基本的には、十両以上の取組でないと、土俵周りにカメラマンはいません(注4)。でも、注目の若手の取組となると、カメラマンが一気に集まってきて、フラッシュをたいて撮影します。

その瞬間、土俵上がこれまでとは違う明るさになり、さすが期待の新星なのだなと思わされるのです。納谷さんの取組が終わると、カメラマンの集団は取組後のインタビューをするために、花道を素早く戻っていったのでした。

今場所、新入幕した3人(大翔鵬関、友風関、照強関。なんと全員24歳!)のうち、照強関の取組中には、これまで見たことのない景色にふれることができました。

照強関といえば、豪快な塩撒きで知られます。初めて見る人であれば「えっ?」と目が点になるほど、片手に山盛りの塩をつかんで撒きます。今回、椅子席から俯瞰的に見ていると、撒いた塩がいったいどこまで飛んでいるのか、ハッキリ確認することができました。

もちろん土俵上にも落ちますが、カメラマン集団や砂かぶり席1〜2列目あたりにまで、塩は飛んでいくようです。お客さんやカメラマンたちが塩をはらっている様子が見えました。この瞬間だけは塩対策(?)が必要かも。

全国の会場を巡って思うこと

結びの一番。白鵬関―正代関

2018年5月から全国各地の会場に足を運んで、大相撲を見るようになりました。両国名古屋博多、そして大阪と、これで全会場を制覇!

それぞれの会場に魅力があり、座る席によっても、楽しさがいろいろだと思います。各会場の体験記をDANROで書いているので、

読んでいただけたら嬉しいです。

4月には関東近郊で巡業があるので、東京武道館(足立区)で開催される「大相撲足立場所」のレポートもお届けしたいと思います。

注1:江戸時代、お客さんから大相撲の入場券や弁当など飲食の手配を引き受ける代行業として存在していたのが「お茶屋」。現在は案内所と名前を変えていますが、今も案内所を通してチケットなどを購入できます。
注2:各会場の収容人数は『大相撲手帳』(監修:杉山邦博、東京書籍)を参照しました。
注3:大相撲の地位は下から序ノ口、序二段、三段目、幕下、十両、前頭、小結、関脇、大関、そして最高位の横綱。朝8:30頃より、下の番付から取組が行われます。
注4:4場所連続で休場し、序二段まで番付を下げ、今場所から復帰を果たした元大関・照ノ富士さんのような元人気関取の場合も、例外的にカメラマンが大勢集まり、取組中の写真を撮影しています。

 

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