「多妻一夫制」が社会を救う? 45歳「非モテ」が考える非婚社会の解決策

野田さん(仮名)が所有する童貞関連書籍

40年以上生きてきたが、女性にモテたことがない――。自ら「非モテ」であることを認め、「非モテはどう生きるべきか」を真剣に考えている男性がいます。東京で働く45歳の男性・野田さん(仮名)です。野田さんは、月刊誌で「45歳の童貞」として、「はあちゅう」こと伊藤春香さんと対談したこともあります。

世間的には安定しているとされる職業に就いている野田さんですが、いまだ独身です。モテない人、いわゆる「非モテ」は、なぜ「非モテ」であり続けるのでしょうか。じっくり話を聞きました。

まず「非モテ」の対義語である「モテる」について、野田さんは異なる2つの意味があるといいます。ひとつは「多くの女性から好意を向けられる」、もうひとつは「恋人が途切れない」です。これらは似て非なるものですが、「非モテ」はいずれにも該当しないものであるとします。

野田さんは、男性と女性のあいだに「許可の概念」があると考えています。人は個々の異性に対して、「視界に入る」「広い場所で会う」「少人数で会う」「お茶する」「デートする」「お付き合いする」「キスする」「セックスする」……などといった段階ごとに、相手を「許可」しているというのです。

「お付き合いするとなると(許可される人は)グッと減ります。『非モテ』は許可されにくい人なんです。自分の場合、デートくらいまでは許可されることはあっても、お付き合いまではほとんど許可されない。45年間生きてきて、彼女がいたのは1回だけなんですよ」

「許可」の段階は、さらに「好意を向ける」と「好意を伝える」に細分化され、関係が深まったりすることで「許可をする/しない」が変化することもあるといいます。

「セクハラかどうか決めるのは自分でなく、相手です。極端に言えば、視界に入ったり、ただそこにいることが『セクハラだ』と言われれれば、セクハラとみなされる可能性もあります」と野田さん。「『手をつないでいいですか?』と事前に相手に尋ねて、許可を貰うべきです」

野田さん作成のプレゼン資料より「許可」の概念

また、ネット上でかつて話題となった、横槍メンゴさんの漫画「クズの本懐」に登場した「興味のない人から向けられる好意ほど 気持ちの悪いものってないでしょう?」という台詞などを例に挙げ、「好意を向けることくらいは『許可される』と考えていても、実際には許可されていないということもあります」といいます。

野田さんはさらに、許可されない相手に好意を向けるという行為は「ある意味で攻撃・加害である」ともいいます。「『ランク』というのはあいまいな概念ではありますが、『ランクの低い人から好意を向けられた』となると、相手の自尊心を傷付けたり、相手に対して失礼になり得ます。相手のことを大切に思うのであれば、好意を向けるべきではありません」と、野田さんは「非モテ」の立場から警鐘を鳴らします。

こうした考え方の背景には、野田さんの女性観が関係しているようです。

「自分が異性に触れると、相手が汚(けが)れてしまうような気がするんです。実際にそんなことはないと頭ではわかってるんですけど、自分は汚らわしい存在であって、女性は清らかな存在なので、間違って女性に触れてしまうと、たとえばコンビニのレジでお釣りをもらうときに女性店員と手が触れると、申しわけないな、と」

「恋愛、結婚、出産、子育てのリスクが高まるいま、一夫多妻制を」

「非モテをめぐる社会的な情勢」として、野田さんは、海外で問題になっているIncel(インセル:involuntary celibate=意図しない禁欲者)の例を挙げます。望むパートナーを得られないIncelは、モテないことからモテる男性(チャド)や女性(ステイシー)に対して攻撃的になり、アメリカやカナダではテロ事件を起こしたこともあるそうです。「でもそれは間違っている」と野田さんは言います。

「女性から選ばれないのは自己責任ですし、選ばないのは女性の権利です。選ばれる可能性が限りなく低いということについての自己受容が大事です」

その一方で野田さんは、「非モテ」はMGTOW(ミグタウ:Men Going Their Own Way=女性を避け、我が道を行く男性)であるべきだと語ります。

「(MGTOWは)女性を避ける人。関わらない人。これは無害であり、ある意味、男女双方にとって、望ましいんじゃないかと。Incelのように異性に対して攻撃的にならずに、MGTOWとして生きるようにすることが社会的には大事なんじゃないかな、と」

漫画家・瀧波ユカリさんの作品に登場した「ハラミ会(男だけで飲むなどしてハラスメントを未然に防ぐ会)」も、MGTOWの一種であるといいます。

野田さんによる「これからの社会に向けての提言」

しかし、野田さんが考える社会が到来すると、男性と女性のあいだの溝が深まるばかりようにも思えます。この点について野田さんは「社会情勢として、恋愛、結婚、出産、子育てのリスクは上昇しています。その中で個人的には、『一夫多妻制』がいくつかの社会問題を解決する可能性があるのではないかと思っているんです」と話します。

「『一夫多妻』という言葉には、ひとりの男性が女性をいっぱいはべらせているような印象を受けますが、『多妻一夫』と書いてみると、多くの妻が一人の夫をシェアするような気がしてきませんか? 優れた男性の子孫を残したいという女性の本能があるなかで、それが社会規範によって縛られているというか、仕方がないから一夫一妻になっているんじゃないでしょうか」

野田さんはさらに続けます。

「結局、少子化と言われているのは、社会のシステムが追いついていないんです。かつては一夫一妻で、子供が2人くらいいる家族を前提にした社会システムでしたが、現実は非婚化や少子化が進んで違うことになっている。2015年の時点で生涯未婚率が男性23%、女性14%ですからね。男性の4分の1は結婚しないんです。これからは非婚・単身の高齢者が増えていくことを前提にした社会システムが必要でしょう」

その一方で「非モテ」はMGTOWとして生き、例えば単身高齢者向けのシェアハウスで生活することで孤独死を減らせる可能性があるーー野田さんはそう語っていました。

 

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