まさかの大ヒット「翔んで埼玉」 地元の映画館で「上映後、拍手が起こる」は本当か?

「埼玉ポーズ」

埼玉県を舞台にした映画で、予想外の大ヒットとなっている『翔んで埼玉』。この話題作を埼玉県内の映画館で観ると、上映後に拍手が起こる。そんな噂を耳にしました。SNSでも、同様の記述がいくつか見られます。そこで、埼玉県のさいたま市、所沢市、東京・池袋と3カ所の映画館をひとりで訪ね、噂が本当なのか確かめてみることにしました。

『翔んで埼玉』は、漫画家・魔夜峰央(まやみねお)さん原作の同名コミックを実写映画化したもので、今年2月下旬に公開されました。「これといって特徴がない」といわれる埼玉県を自虐的に描いています。

県庁所在地・さいたま市の映画館の反応は?

まず訪れたのは、さいたま市にある映画館です。東京の北にあるさいたま市は、埼玉県の県庁所在地です。映画では「○○は、すっこんでろ!」と揶揄(やゆ)される、ある地域を含む土地でもあります。

天気がよい土曜日の午後。250以上ある座席はほぼ埋まっていました。若い男女や、家族連れで観にきた人たちが多いようでした。ふだん東京都内で映画を観ている筆者にとっては、映画の本編が流れる前にスクリーンに映し出されるCMの、地域色の強さが新鮮でした。

結果からいうと、ここでは上映後に拍手は起こりませんでした。エンドロールが流れ終わった直後、観ていた人たちが一斉に話し始めたため、「どっ」と場内が湧きましたが、拍手の音は聞こえなかったのです。

その代わり、隣の席の男性が、一緒に来た女性に「埼玉県では、学校給食に(ローカルチェーンの)『山田うどん』が出るんだよ」と、埼玉トリビアを教えているのが聞こえました。

映画で描かれる「地元」所沢の映画館を訪ねる

翌日曜日、こんどは東京の北西に位置する所沢市に向かいました。所沢は、映画のなかで重要な場所として描かれています。筆者が学生時代、4年間暮らした街でもあります。故郷の友人たちには「東京の大学に通っている」と誇らしげに語っていましたが、実際は、2年生まで所沢校舎に通わねばならず、結局卒業するまで市内のアパートで暮らしていたのです。

所沢の映画館に着いたのは17時ごろ。18時30分から上映される回を観ようと思ったのですが、1時間半前にもかかわらず「満席」で入れませんでした。座席数が150に満たないとはいえ、なんと11時台の初回から18時台の4回目まで、すべてが満席だったとのこと。すべて映画館の人によると、前日の午前中にはチケットが売り切れてしまったそうです。

「上映後、拍手が起きることはありますか?」と尋ねると、「起きる回と起きない回があるようですね」とのことでした。5回目の21時前からの回は席が残っていましたが、これを観ると東京都内に帰るのが遅くなるため、この日は仕方なく、ローカルチェーン「ぎょうざの満洲」で食事をして帰りました。

「埼玉領」ともいわれる東京・池袋の映画館では?

さらに翌日。こんどは池袋の映画館で『翔んで埼玉』を観ました。池袋は、これまでに訪れたさいたま市や所沢市など埼玉県に出るのに交通の便がよく、ネット上では「埼玉領」といわれることもある街です。

平日の午後、しかも外は雨でしたが、春休みに入った学校も多いのでしょう。男性も女性も10代〜20代とみられる若い男女が多く、最前列をのぞいてほぼ満席でした。

上映後の拍手は起こるのか? どきどきしながら待っていると、鑑賞を終えた瞬間、拍手が起きました。けして長い時間ではありませんでしたが、たしかにパチパチパチと、場内の複数の場所から拍手の音が聞こえてきました。

ここでも映画館のスタッフに、拍手について尋ねると「お客様の入りやお客様の層によって異なるのですが、最近はよく起こっているようですね」と教えてくれました。

映画を2回鑑賞して確信しましたが、この映画は本編もさることながら、エンドロールが「埼玉県人」の愛郷心をくすぐる作りになっています。ネタばれになるのでここでは内容に触れませんが、埼玉出身者でなくても、拍手をしたくなる気持ちはわかる気がしました。

映画『翔んで埼玉』予告編

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