落語家が営む名古屋の「駄菓子バー」 17年ぶりに訪ねて味わう「酒とスナック菓子」

宅飲みしようとコンビニへ酒を買いに行ったとき、つい、手が伸びてしまうものがある。それは、ベビースターラーメンやうまい棒、サラミなどの駄菓子。子どもの頃もよく食べていたが、大人になってからはもっぱら酒のアテにしている。

駄菓子と酒で思い出したのが、名古屋・大須にある駄菓子バー「チャーリーズ」。10年以上前に週刊誌の取材で行ったことがある。当時、店主のチャーリーさんは地元劇団の役者だった。その後、落語家に転身。2年前、名古屋市内のうどん店で開催された寄席で、チャーリーさんの落語を聴いた。

17年ぶりに「チャーリーズ」へ

思い出すと無性にチャーリーさんに会いたくなり、店へ行くことに。店主や女将さん、マスターに会いに行くというのも、ひとりメシ、ひとり酒の動機としてはアリだろう。店がある大須は、東京でいえば、浅草と秋葉原、原宿が一つになったような、雑多な街だ。店は商店街から少し離れたところに昔とまったく変わらないまま佇んでいた。

扉を開けて店内に入ると、これまたチャーリーさんがまったく変わらない笑顔で出迎えてくれた。店を訪ねる前に、以前ここを取材した日時を確認したところ、2002年11月。ここに来たのは、実に17年ぶりということになる。

「去年がオープン25周年だったんですよ。こんな儲からない店を四半世紀もよく続けてこれたもんだと思ってますよ」と、チャーリーさん。

店内を見渡すと、フィギュアやプラモデル、テレビ番組のノベルティ、昭和レトロなジュースなどが雑然と並んでいる。店に入るのも靴を脱がねばならないし、バーというよりは、チャーリーさんの部屋に遊びに来たような感覚だ。

酒のアテとなる駄菓子は店に入ってすぐのカウンター席と奥のテーブル席に置いてあり、好きなものを選べる。以前訪れたときは、たしか3個で100円だったと記憶しているが…。

「変わってませんよ(笑)。ただ、駄菓子も時代とともに値上がりしてて、昔は1個20円、30円だったものが40円になってる。お客さんから40円の駄菓子はどれか聞かれるけど、絶対に教えない(笑)」

酒と駄菓子を堪能

ひと笑いしたところで、「トリスハイボール」(450円)を注文。小腹も空いていたので、目の前にあったスナック菓子を3つ選んだ。うん、塩気がハイボールとよく合う。飲みながら、チャーリーさんの近況を聞いてみた。

「役者は舞台が年に1回なんだよね。その点、落語家はイベントとかに呼んでもらえるからねー。今は役者よりも落語家の方が比重が大きいかなぁ。だから、今は僕のことを“チャーリー”って呼ぶ人も少なくなってきてる」

おっと、紹介し忘れた。落語家としては雷門福三という名前で高座に上がっている。うどん店での寄席では、古典落語の「時そば」を名古屋風にアレンジした「時きしめん」を披露してくれた。これがもうめちゃくちゃ面白かった。

そんな話をしているうちに、あっという間にハイボールと駄菓子が空になった。今度は日本酒「百十郞」(500円)と、子供の頃によく駄菓子屋で買っていた「キャベツ太郎」などを選ぶ。くーっ。駄菓子、日本酒にも合うなぁ(笑)。

居合わせた常連客と意気投合

ここで2組のカップルが来た。常連のようで、チャーリーさんと親しく話している。年齢は私と同世代か。いや、もう少し下かな。どうしてそうなったのかは覚えていないが、いつの間にか話題は病気の話になった。ひとりで飲んでいた私にも振られた。

そういえば、1週間ほど前にのたうちまわるほど腰が痛かったことを思い出した。単なる腰痛ではなく、20代の頃から何度か経験している尿路結石の痛みである。超音波を当てて石を粉砕する手術も受けたことがあるが、10年ほど前には尿とともに5ミリほどの石が出たことを私は話した。

なんと、チャーリーさんも含めて、この場に居合わせた男性の全員が尿路結石を経験していたことがわかった(笑)。中には男性器の先から内視鏡を入れて治療したという人もいて、全員でその恐怖を共有した。そして、誰からともなく「オレたちはローリングストーンズ!」と言い出して、店内は大爆笑に包まれた。

笑いすぎたら猛烈に腹が減ってきた。もう、駄菓子でお腹を膨らますのも限界だ。ここの名物、「日清焼そば」(400円・キャベツ入り500円)の大盛「ダブル」(700円)を注文。チャーリーさんは、自称“日本一の日清焼そばクリエイター”らしい(笑)。では、見せてもらおうか、その腕前を。

たしかに日清焼そばは、規定の量の水を入れてもうまくいかないことが多い。しかし、チャーリーさんが作ったのは、麺のかたさも味付けも完璧!その肩書きはダテじゃないことがよくわかった。それにしても、腹ペコ時の日清焼そばは旨すぎる!

ふと、メニューに目をやると、「オリエンタルグァバカクテル」(600円)を見つけたので早速注文した。オリエンタルグァバとは、名古屋生まれの即席カレー『オリエンタルカレー』が製造しているトロピカルドリンクだ。テレビCMもやっていたので、地元在住で40代以上の人なら知らない人はいないだろう。

肝心な味だが、まったりとした甘みがあって、めちゃくちゃ飲みやすい。チャーリーさんやほかの客との会話も弾んでいたこともあり、おかわりしまくった。しかし、これがイケなかった。オリエンタルグァバと合わせるお酒はウォッカなのだ。完全に酔いがまわって、2軒目に行ったことまでは覚えているものの、それ以降は断片的な記憶しかない。でも、まぁ、楽しい酒だったからヨシとしよう。

 

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