タイで「避寒生活」を始めたときの話(後編)~元たま・石川浩司の「初めての体験」

タイで「避寒生活」を始めたときの話(後編)~元たま・石川浩司の「初めての体験」
タイのチェンマイで女装してみる

前回のコラムでは、毎年2月になると1カ月間、タイのチェンマイで「避寒生活」をしていることを伝えたが、今回はそこでの生活の様子について記したいと思う。

見知らぬギタリストとセッション

チェンマイで「避寒生活」を始めてから数年、滞在中はただダラダラするつもりだったが、タイや隣国ミャンマーなどにいる人から「せっかくチェンマイまで来たのなら、ちょっと演奏でもやっちくり~」と、ライブの依頼が入るようになった。昨年はそのギャランティで1カ月の宿泊費と交通費が全部出たほどだ。

こうした海外ライブのキッカケとなったのが、チェンマイの日本食屋での出来事だ。ある日、その日本食屋に友人たちと行ったところ、地元で有名らしいギタリストが演奏を始めた。

その時、友人の誰かが、「石川さん、パーカッション付けちゃいなよ」とちょっとおちゃらけて言った。酔っ払っていた僕は、「おお、面白いかも。やろっか」と答えた。と言っても、ただ飲みに来ていただけなので、パーカッションはおろかスティックすら持っていない。

そこでお店の人に「何か叩いていい物ありますか?」と聞いたところ、キッチン用品などをいろいろと並べてくれた。そこで僕はギタリストの演奏に合わせて、即興で「ガラクタパーカッション」を始めた。

チェンマイのギタリストとセッション(YouTubeより)

その時にセッションをしたギタリストとは、ニカッと笑って握手だけして、お互い名前も聞かずに別れてしまったが、狭いチェンマイ、いつかまた会うこともあるだろう。

ポピュラーな日本食

さて、上の文章を読んで、「日本料理屋にも行くんだ。海外だと高いんじゃない?」と思われた方もいるかもしれない。おおむね外国の日本料理屋、例えばニューヨークやパリなどでは、日本から来た現地駐在員が行くちょっと高級なレストランを思い浮かべる人もいるだろう。

しかしタイでは、ラーメンや寿司などの日本食は非常にポピュラー。日本全国に中華料理屋があるのに少し似ているかもしれない。ローカルな日本食屋がそこらじゅうにあり、地元の人が普通にカツ丼や寿司をつまんでいるのだ。

極端な例では、数年前にオープンしたショッピングモールの上階が、日本の食堂街のようになっている。そこに並んでいるお店は、吉野家、大戸屋、やよい軒、8番らーめんなどほとんど日本食のチェーン店だ。

チェンマイのショッピングモールだから、もちろん基本的なターゲットはタイ人だ。そのくらい日本食がポピュラーなので、タイ料理しか食べられないということはない。

毎年遊びに来る僕より年上の友人など、チェンマイの気候が気に入って来るのだが、辛いものが苦手でタイ料理が一切食べられない。それでも日本食や中華、洋食などで充分過ごせるのだ。

治安の良さも魅力のひとつ

石川_避寒生活後編_1
チェンマイでヤンキーに扮装

あとよく聞かれるのが「治安は大丈夫なの?」ということ。これも基本問題ない。

僕の定宿は月貸しが基本なので、フロントに常に人がいるわけではない。それでは夜中に到着した場合、鍵の受け渡しはどうするのかというと、誰でも手を突っ込める郵便受けの中に、鍵がそのまま投げ入れられているのだ。

治安のよい日本ですら防犯上あり得ないだろう。たぶん今まで事件が起きていないからそのシステムを続けているのであって、いかに治安がよいかを示しているといえるだろう。

また、僕の宿泊先である「サービスアパート」は、宿泊費が安いためプールなどの施設は無いが、お金を払えば近くの高級ホテルにビジターとして入れる。

ちょっとだけリッチな気分を味わいたい時は、そこでデッキチェアーにもたれて、リゾート気分を堪能することもできるのだ。「今頃日本ではみんな寒さでブルブル震えているんだろうな~。ふふっ、極楽、極楽!」などとイヤラシイ妄想をして優越感に浸るのである。

思わぬアクシデントが!?

このように魅力いっぱいのチェンマイだが、長年通っていれば、必ずしもいいことばかりではない。

ある年のことである。1カ月にわたる「避寒生活」のためにチェンマイに着くと、すぐに近くの雑貨屋で安いゴム製のサンダルを見つけた。

「日本円で30円くらいかぁ。こりゃあいいっ!」

前回のコラムでも書いたが、安いというだけでウホホーイと嬉しくなってしまう性格である。しかし「安物買いの銭失い」がこの後に起こった。

友達と「これから1カ月、羽根を伸ばすぞ~!」と飲み屋に向かって颯爽(さっそう)と闊歩していたその時である。

グキッ。

夜道だったのでよく見えなかったのだが、歩道に小さな穴が開いていたのだ。そこに買ったばかりの安サンダルがペナッと引っかかるや、足が変な風に曲がった。

「!?」

最初は軽い捻挫だと思っていたがどんどん痛みが増してくるので病院へ。

「骨折ですね。1カ月の安静です」。

ガビーン。1カ月の「避寒生活」なのに、滞在期間中ずっと安静にしなければいけない。何のために来たんじゃい...。

石川_避寒生活後編_2
ギプスのカラーが選べたのでカラフルなピンクにしてもらった

まあそんな年もあったが、実際今もチェンマイにいて、このコラムを書いている。さて、ようやく書き終わったし、1時間500円の格安タイマッサージで揉みほぐされてくるとしますかぁ~。ムヒヒヒヒッ!

 

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