JR東日本のエキナカ「ひとり用オフィス」で、15分の重みを知る

JR東日本のエキナカ「ひとり用オフィス」で、15分の重みを知る
JR東日本提供

「このメールはできるだけ早くパソコンで返信したい」「早急に容量の大きなデータを送信しなければならない」……でも、喫茶店やコワーキングスペースで腰を落ち着けて作業するほどではない。筆者のようなフリーランスのライターには、わりと起こりやすい状況です。きっと、外まわりの仕事が多い営業担当の会社員も、同じような体験をしていることでしょう。

JR東日本は昨年11月末、ひとり用の作業スペース「ステーションブース」を東京駅や新宿駅、品川駅に試験的に設置。今年2月20日まで実証実験をしています。利用者は、机と椅子、無料のWi-Fiが備わったブースを、15分単位で使うことができます(1回あたり最大30分まで)。実証実験の期間中は無料と聞き、さっそく使ってみました。

特徴的なのは、これが「駅ナカ」、つまり改札のなかにあることです。ブースが設置された各駅で途中下車して、気軽に使うことができるのです。鉄道会社が運営しているからこそのアイデアです。

ブースには、個人利用と法人利用の2つのタイプがあり、個人利用の場合はウェブ上で会員登録をする必要があります。メールアドレスやパスワードのほか、氏名、生年月日、性別、住所などを入力します。数分で済みますが、性別や住所を登録することに抵抗をおぼえる人がいるかもしれません。

会員登録したあと、専用の画面で利用時間を予約します。ブースのドアの横には小さな画面があり、タッチするとQRコードが表示されます。これをスマホで開いた会員画面のカメラから読み取ることで解錠します。この登録や解錠に関しては、JR東日本らしく、Suica(スイカ)と連動して「ピッ!」だけで済むといいなあと、淡い夢を抱きました。

JR東日本_新宿駅_大
Photo by Getty Images

ダメ人間には向かないブース 強い意志を持って臨め

ブースの内部は、筆者の計測で横幅105cm、奥行き105cm、高さ200cm。ソファはひとりで座るには、ゆったりしたサイズ。足もとには暖房機器もあり、環境としては贅沢です。

訪れたのは、月曜日。新宿駅のブースを18時30分から15分間使ってみました。係の女性に話を聞くと、個人利用のブースは、どの時間帯もほぼ埋まっているとのことです。同じ週の金曜日の夜18時ごろ、今度は品川駅のブースに立ち寄りましたが、同様に個人利用のブースはサービス終了時間の21時まで埋まっており、予約できませんでした。

JR東日本によると、個人利用向けブースの稼働率は50~60%程度。利用者は30~40代が中心で、8割が男性だといいます。

新宿駅のブースに入ると、ノートPCを広げ、コンセントでスマホの充電を開始しました。大きな駅の改札近くということもあって、かなりの人通りがありましたが、ブースは密室で、静かです。「へえ…こんな風になっているのか」と周りを見渡してから、モニター横に記載されたWi-fiのパスワードを入力すると、その時点で、すでに5分ほどが経過しています。

駅ナカひとり用オフィス
JR東日本提供

パンフレットには、ブースの利用法として「メールのチェックや資料作成」「勉強に集中」といった例が挙げられています。しかし、筆者のようにネットがつながるとすぐSNSを見てしまうダメ人間は、「このブースを使って◯◯さんにメールを送るんだ!」という強い意志をもって臨む必要がありそうです。

終了時間が迫ると、ブース内に「あと5分です」というアナウンスが流れることもあって、15分という時間の短さと重さを思い知ることになります。15分って、こんなに短かったっけ……?

実際に、JR東日本にも「もっと長時間利用したい」との声が寄せられているそうです。

そこで土曜日の昼、再び品川駅を訪れ、今度は30分間使ってみました。この記事の約3分の1は、そこで書いたものです。このときは、2回目ということで要領もわかっていたので、快適に使うことができました。

「終了時間後も居座っていたらどうなるのだろう?」という考えが頭をよぎりましたが、名前や住所を登録しているため、無茶はできません。予定時間ちょうどで外に出ました。外国人観光客と見られるカップルが、不思議そうにブースを覗き込んでいました。

ひとり用の作業ブースは他にもありますが、「ステーションブース」は「駅ナカ」にあるというだけで、ずいぶん気軽に使えるなというのが実感です。本格サービスが始まった場合、利用料がどう設定されるのか気になるところですが、改札を出ずに使えるというアドバンテージは、大きそうです。

2019年度上期中には、サービスが開始される予定とのことです。

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