シーサーのルーツ「石獅子」を見に行く~沖縄・東京二拠点日記(第12回)

シーサーのルーツ「石獅子」を見に行く~沖縄・東京二拠点日記(第12回)
RBCラジオ「Villa de Weekend」に出演した筆者(中)

10年ほど前から東京と沖縄の間を往復する「二拠点生活」を送っている。那覇市内のマンションをもう一つの自宅として、沖縄の人々と交流しながら、フリーランスのノンフィクションライターとして取材し、原稿を書く。そんな生活を日記風に書きつづる連載コラム。10月後半は、沖縄在住の彫刻家や陶芸家などの作品を見に行って、さまざまな人と出会った。

沖縄の個性的なアーティストたち

【10月20日】夜、東京から那覇に到着。松山の居酒屋「酒月」で、ぼくの部屋に定期的に風を入れにきてくれる、じゅんちゃんと逸品の和食を味わう。いつもながら鯖棒寿司が美味い。帰宅して、台風24号で根元からぼっきり折れたタコの木を、折れた部分から伐採。巨大化していたのに残念。

【10月21日】早起きして、引き続き台風24号の後片付け。バルコニーを見ると、タコの木の他にもけっこうやられてる。ガジュマルの葉も半分ぐらい落ちている。落ちた葉っぱなどを片づけて、洗濯。

そのあと、歩いて壷屋に向かった。てんぷら坂をのぼったところにある、地域のランドマーク的な三角形の建物━おそらく戦後すぐに建てられたものだろう━に向かう。ここで彫刻家のゴヤ・フリオさんの個展をやっていて最終日だというので、のぞいてみた。

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壺屋エリアのランドマーク的な三角形の建物

沖縄から南米に移住した両親を持つフリオさんはブエノスアイレスで生まれ、両親とは逆に沖縄に移住して作家活動を続けている。浦添市庁舎の屋上モニュメントなど沖縄の有名な建造物のデザインなども手がけている著名な作家だ。いまは瀬戸内海の小豆島にもアトリエを構えて、沖縄と往復しているそうだ。

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ブエノスアイレス出身の彫刻家、ゴヤ・フリオさん(右)と筆者

ちなみにこの建物は、壷屋通りで一風変わったやちむん(焼き物)を扱っている「まじる商店」のまじるさんが買い取って、これからおもしろい空間にしていきたいと意気込んでいる。まじるさんは、やちむんなどを手がけるアーティストだ。「まじる商店」はぼくも大好きな店なのだが、そっちは息子にまかせるらしい。

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「まじる商店」のまじるさん

途中で、陶器やガラス器のセレクトショップ「ガーブ・ドミンゴ」に寄った。オーナーの藤田俊次さんは、彼が東京にいるときからの知り合いで、グラフィックデザイナーでもある。ハイセンスなギャラリーのような内装や器を選ぶ目利きはさすが。店は今や那覇ですっかり有名になった。

フェイスブックで見て気になっていた西山芳浩さんのガラスボトルを買って、RBCラジオへ。菊池志乃さんがパーソナリティをつとめる「Villa de Weekend」という番組で『沖縄アンダーグラウンド』を紹介してもらった。ジュンク堂店長の森本さんも一緒。

番組を終えて、ジュンク堂書店那覇店へ。森本さんのクルマに乗せてもらう。『沖縄アンダーグラウンド』発刊記念のトークイベント。ゲストは社会学者の打越正行さん。1階のカフェに入ると、打越さんがすでにいた。なぜか緊張して2時間以上前から来て、話すことを整理していたという。

打越さんのことは前にも触れたが、30歳で沖縄の暴走族に「弟子入り」してパシリになり、彼らと建設現場で働きながら、沖縄のやんちゃな男の子たちを調査をするという超型破りな男だ。今日は、まじるさんといい、打越さんといい、変人と会うなあ。イベントは大盛況。

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ジュンク堂書店那覇店でのトークイベントは大盛況

終わったあと、カフェユニゾンの波平雄太さんと打越さんとお茶を飲み、森本店長や友人たちと合流して、センベロの店で軽く打ち上げしてから、森本さん行きつけのお好み焼き屋へ。生粋の関西人の森本さんはコナモノを切らすと禁断症状になるのである。

現代に復活したシーサーのルーツ・石獅子

【10月22日】FM那覇の「ヒトワク」という番組の収録。番組を運営し、いくつかのNPOの代表をつとめる平良斗星さんと対話。斗星さんは常に社会貢献のアイディアに溢れていて、お会いするたびにハッとさせられる。

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FM那覇にて平良斗星さん(右)と語り合う

帰りにカフェ「ひばり屋」に寄ってみた。というのは、石獅子を製作している彫刻家の若山大地さんの「ししを尋ねてひばり屋へ inひばり屋」という展示会を見たいと思ったから。

昔、沖縄では村落の入り口に琉球石灰岩で手彫りした石獅子を設置していた。屋根や門柱に設置されたシーサーのルーツなのではないかと言われている。それを現代に復活させたのが若山さんなのだ。

前に若山さんのスタジオにもおじゃまして、「石猫」を買ったこともあるので、楽しみだった。「ひばり屋」は空き地というか、民家が取り壊された跡地に作られたオープンエアのカフェだ。移転を続けていて、今の牧志の場所で何カ所目かになるはず。今や那覇の名所になった。

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彫刻家の若山大地さん(左)と「ひばり屋」で

ひばり屋には、世界中から人がやってくる。のぞくと「おとん」の池田さんが椅子に座って(定席らしい)アイスコーヒーを飲んでいる。小雨が落ちてくる空を見ながら、しばらく歓談。

そうしたら、前からお目にかかりたいと思っていたライター・エディターの権聖美さん(「ヒュッゲ」というドーナッツ屋も経営している)にも会うことができた。過去、いろいろな沖縄関係の雑誌で彼女の名前を見ていたから、うれしかった。

いったん部屋に戻り、栄町へ。途中で土砂降りになった。オープンしたばかりの、見た目はバーなのだが(店員もバーテンダーのかっこうをしている)、メニューは居酒屋というユニークな店「レモンツリー」で一杯やる。さらに、近くの定食屋「ヘンサ森」でビールとカツカレーを喰って、帰宅。

沖縄はスコールが多い。雑居ビルの軒先で雨足が弱まるのを待つ時間が、ぼくはなぜか好きだったりする。

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ヘンサ森のカツカレー

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