芸人ヒロシ「学校が辛かったら登校拒否して、引きこもりのYouTuberになればいい」(ひとりぼっちの君へ)

芸人ヒロシ「学校が辛かったら登校拒否して、引きこもりのYouTuberになればいい」(ひとりぼっちの君へ)
芸人兼ソロキャンプYouTuberのヒロシさん(撮影:萩原美寛)

「ヒロシです…」で始まる自虐ネタが2004年に大ブレイクした、お笑い芸人のヒロシさん(46)。いまはテレビにあまり登場していませんが、趣味の「ソロキャンプ」を中継するYouTuberとして活躍しています。

ヒロシさんは、自分の生き方や考え方をまとめた著書『働き方1.9』(講談社)を12月に出版しました。副題は「君も好きなことだけして生きていける」。その中で、子ども時代に学校でいじめられていたことについても触れています。

DANROの連載企画「ひとりぼっちの君へ」。いじめられている人に向けて「あなたが今いるところは、広い世界の中で、ほんの小さな一点です」と呼びかけるヒロシさん。「学校や会社で辛さを感じている人も、ちょっとした工夫で幸せになれることを伝えたい」と語ります。

お笑い芸人はサラリーマンの世界

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『働き方1.9』(著者:ヒロシ/講談社)

自虐ネタが流行った一発屋芸人ーー。ヒロシさんは、そんなレッテルから解放されたいと思って、この本を書きました。

「本当の俺は違うんだよ、と言いたかったんです。最初に編集者から『表紙はいつものスーツではなく、白シャツでいきたい』と言われて、それはすごくいいなと思いました。僕は番組で富士山に登るときも、『スーツを着ろ』って言われますからね...」

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ブレイク時には月収4000万円を超えたこともありました。しかし、テレビのお笑いの世界はしがらみが多く、精神的に病んでしまったといいます。

本の中では、お笑いの世界で感じた違和感について触れています。子どもの頃から憧れていたのは、「面白ければ活躍できる世界」。しかし芸能界に入ってみると、力を持っている人とのコネクションが重要であることに気がつきました。お酒が飲めなかったヒロシさんは、飲み会に参加することもストレスでした。

「お笑い芸人とはいえ、サラリーマンの世界です。先輩に気に入られるために、飲み会でお酌をして、お世辞をいう。そしてネタをつくって、テレビ局のオーディションに行って、テレビ局の人と飲み会をして...。どんだけ時間をかけるんだよ、と。でも、今はネットがあるから、速攻なんですよ」

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インターネットの時代がきた。ヒロシさんがそう強く感じたのは、動画共有サイト「YouTube」が登場したときでした。撮影から公開まで、すべてひとりでこなすことができます。

「ネットはこんだけパワーがあるのかと思いました。圧倒的に自由です。僕は人が苦手なんですよ。一緒にものを作るのって、正直うんざりなんです。何かを決める時に、周りに気をつかわないといけません」

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ヒロシさんは2015年にYouTubeで「ヒロシちゃんねる」を開設しました。淡々とひとりでキャンプをする動画を中心に配信しています。焚き火をしたり、魚や肉を焼いたりする様子が映し出されています。ヒロシさんにとって、ソロキャンプは「日々のしがらみから脱却した息抜き」だといいます。

「ソロキャンプは、ひとりで何でも決められます。変な煩わしさって、友達でもあるじゃないですか。食事のメニューを決めるのも、気をつかって合わせないといけない。もし雨が降って面倒くさくなったら、帰ってもいいし、ホテルに泊まってもいいんです」

「ヒロシちゃんねる」の現在のフォロワーは約30万人。月収は80万円を超えることもあります。組織のしがらみの中で鬱々と仕事をするのではなく、自分ひとりで好きなことを仕事にできる。そんな「個の時代」がきたと考えています。

小学生の時、いじめを受けていた

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ヒロシさんは、子どもの頃から集団に馴染めませんでした。小学2年生で転校したときに受けたいじめを振り返ります。

「僕、相当いじめられていたんですよ。転校生だから『お前はスパイだ』と言われたり、石を投げられたりしていました。毎年秋の運動会で、対抗リレーがあって、地区ごとに代表を選ぶんです。俺が一番早かったんだけど、先輩から『お前はダメだ』と言われた。単に気に入らなかったからですよ」

特に辛かったのは、同級生や先輩からだけでなく、先生からも、ひどい扱いを受けていたからだといいます。

「先生が家庭訪問で、僕の住む地域に来る日がありました。放課後、近所の友達2人が『どうせだから、先生の車で家まで送ってもらおうよ』と言うんです。3人で駐車場で先生を待っていた。そしたら、先生が来て『斎藤(ヒロシさんの本名)、お前だけ歩いて帰れ』と。嫌いだったんでしょうね。さすがに泣きながら帰りました」

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学校に馴染めない辛い日々。そんなとき、心の支えとなったのが、お笑いでした。クラスの誕生日会で、当時人気だったドリフターズのモノマネをした時の思い出を語ります。

「みんながどっと笑ったんです。そわそわっとしました。なんだこの感覚は?と。とても気持ちがよかった。みんなにウケたときの喜びは今でも覚えています」

その頃から、ヒロシさんはお笑い芸人に憧れるようになりました。いじめを受けて悔しかった時は「俺は人気になって売れて、いい生活をしてやるんだ」と言い聞かせていました。「何の根拠で芸人になれるって思ってたんでしょうね。でも、そう思うことで耐えていたんです」

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そんな苦労があったからこそ、今のキャラクターがあるのかーー。ヒロシさんはそう聞かれることが多いそうです。しかし「苦労は報われるというのは迷信だ」と考えています。そんな辛い経験はないほうがいい。ヒロシさんは、今同じようにいじめを受けている人に向けて、「辛かったら逃げだしたらいい」と話します。

「あなたが今いるところは、広い世界の中で、ほんの小さな一点です。ペンシルの先みたいなもんです。たまたまくだらない学校のくだらないクラスに入っただけ。世の中には絶対にあなたに合う人がいます。

学校が辛かったら、登校拒否すればいい。そして、YouTuberになればいい。『引きこもり』実況をして発信すればいいじゃないですか。有名になって、見返してやりましょう。好きなことをやって、発信して、共通の仲間と繋がる。そういう時代がきていますよ」

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