「カイシャの飲み会」にかかる費用は、すべて会社が負担すべき時代が来た

「カイシャの飲み会」にかかる費用は、すべて会社が負担すべき時代が来た
朝日新聞「カイシャの飲み会」座談会の様子。昼間から乾杯(筆者は左から二人目)(撮影:DANRO編集部)

12月17日の朝日新聞朝刊オピニオン面に掲載された「カイシャの飲み会」に関する座談会に参加させてもらいました。DANROとの連動企画でもあるということで、いまどきの飲み会について少し情報を補足させてもらいます。

なお、DANROではひとり飲みのコラムを書くことが多いので「酒はひとりで飲むもんだ」という発言を期待されていたようです。しかし、本当は気の合う人と楽しく飲むお酒の方がおいしいと思っているので、趣旨から外れてしまったかもしれません。

ベンチャー企業は飲み会を上手に使っている

今回は、DANROのコラムニストとしてだけでなく、株式会社グローバルウェイが運営する働く人のための企業口コミサイト「キャリコネ」編集長、および働き方研究所準備室長という立場で発言することになりました。

キャリコネの口コミを検索すると、「飲み会」に関する書き込みが5000件超もヒットします。その内容は「出世には飲み会への積極的な参加が必須」といった間接的な指摘も含めると、約6割がネガティブなものでした。

しかし、感情を持った生身の人間が一緒に働いている以上、会社には「懇親」や「慰労」などの場が必要で、飲み会もひとつの手段という考えは正当といえるでしょう。実際、若手経営者が創業し成長しているベンチャー企業は、会食の効果を認識し、組織づくりに上手に使っている会社が目につきます。

例えば、サイバーエージェントでは、月1回の「部署懇親会」を推奨し、1人あたり5000円の懇親会費用を会社が負担。コロプラやフォルシアでも、プロジェクトの打ち上げや同期の親睦会、送別会などの社員間の飲食費を1人5000円まで会社が補助しています。

少し変わったところではVOYAGE GROUPの「AJITO」のように、終業後にビールやカクテルなどのドリンクを無料で飲める社内BARを置く会社もあります。

社外に会場を借りて、社内パーティを盛大に開く会社もあります。ミクシィでは毎年6月、グループの全社員が一同に会し、前年度の功績や実績を称え合う表彰式を行った後、おいしい料理やドリンクを楽しみます。4月のお花見、9月のお月見、12月のクリスマスの時期にも、全社パーティを開催しているそうです。

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「乾杯はビールで」という飲み会の慣習も変化しつつある(Photo by Getty Images)

コミュニケーションは職場のストレスを軽減する

範囲をランチにまで広げると、枚挙に暇がありません。1人1620円を上限に「毎週メンバーをシャッフルしてランチに行く制度」があるイグニスや、「毎週水曜日は社員全員で一緒にランチを食べる(お弁当やケータリングを会社が用意)」ピクシブなどは、社員から好評を得ているようです。

中には「会社が用意した食材を自由に使って“まかない”を作れる」クックパッドなど、事業に絡めたユニークな取り組みも見られます(その他の例は、グローバルウェイが運営する「企業まとめサイトTENSHOCK」の特集ページで情報を集約したので参考にしてください)。

これらの会社は、明確な目的をもって飲み会や会食の場を設けています。たとえば、「チーム内のコミュニケーションを活性化させて業務の円滑化を図る」(グリー)、「スタッフの交流を深め、リフレッシュと、ビジョンを語り合える場を提供する」(テクノモバイル)といった目的を定め、制度化しています。フォルシア広報担当の西澤真歩さんは、自社の「食事代補助」制度の趣旨を次のように説明します。

「当社では部署・役職を超えた、社員間の円滑なコミュニケーションが重要と考えています。業務の場を離れて食事をしながら和やかに会話をすることで、社員の人柄をお互いに理解し、親睦を深めることを目的としています」

VOYAGE GROUPの「AJITO」のように「偶発的なひらめきや出会いを生み出す、なくてはならない場所」といった、イノベーションを生み出す場として位置づけをする会社もあります。

お酒が料理の味を引き立てることもあり、そのような場でおいしい食べ物とともに適量のアルコールを出すことは、大人の社交をするうえであってもよいでしょう。リラックスした雰囲気の中でメンバーの団結が強まったり、プライベートを含めた同僚の「人となり」を知ることで職場のストレスが軽減されたりする効果もあります。

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飲み会は社員間のコミュニケーションを深める効果もある(Photo by Getty Images)

「年長者のご機嫌取り」の飲み会は会社が禁止せよ

最後に、やや極論になりますが、若手社員も参加する意味を感じられる「良い飲み会」と、参加したくなくなる「悪い飲み会」との違いを比較してみましょう。

《良い飲み会》
・目的:「懇親」や「慰労」「動機づけ」など参加者のコミュニケーション促進
・メンバー:普段はあまり交流しない自部門・他部門のメンバー
・内容:前向きなあいさつと楽しい会話。おいしい食べ物。ソフトドリンク選択可
・時間:業務時間内。終了時間が決まっている
・費用:全額会社持ち

《悪い飲み会》
・目的:あいまい(年長者のご機嫌取りや、居場所がない人の付き合い)
・メンバー:代わり映えしない、いつものメンツ
・内容:説教、自慢、昔話、愚痴。泥酔。女性社員を「無料キャバクラ嬢」扱い
・時間:残業後、際限なく強制参加。終電やタクシーでの帰宅もしばしば
・費用:上司が若干厚めか、割り勘。あるいは不適切な会社の経費で落とす

たまには愚痴やガス抜きもいいですが、毎日深夜まで飲んで、翌日の午前中は頭がボーッとしているなんて生産性が低すぎます。社員の健康を考えても、会社は後者の「悪い飲み会」は原則禁止にしてもいいのではないでしょうか。

その代わり、ちゃんとした目的や趣旨を設定した「良い飲み会」ができる制度や環境を整え、費用を全額会社負担にする。そして、それをコーポレートサイトに「福利厚生制度」として明記してアピールする。ハラスメント予防の一環にもなります。

冒頭に紹介した朝日新聞の座談会の場でも、居酒屋チェーン・大庄グループの栗原さんと、キリン広報の兵頭さんは、ともに「すべての飲み会が悪者にされてはたまらない」と言っていました。会社は「良い飲み会」をうまく使い、社員に理不尽なストレスが溜まる「悪い飲み会」を根絶する工夫が必要な時代が来たのかもしれません。

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