贅沢な「ひとりの時間」に浸れるなら高くない? 入場料1500円の「本屋」六本木にオープン

「文喫」店内の様子

入場料として1500円かかることで注目を集めている本屋が12月11日、東京・六本木にオープンしました。今年6月に閉店した青山ブックセンター六本木店のあった場所です。

本屋の名前は「文喫(ぶんきつ)」。約3万冊の本を集めた選書室や本とじっくり向き合える閲覧室、食事ができる喫茶室などが入った、新しいタイプの本屋です。

気ままで自由な時間を過ごしたい「ひとり好き」にはありがたいスポットになりそうです。伊藤晃店長は「本と一対一になる空間です。おひとりさまは大歓迎です」と語っています。

本と「恋」のような出会いを

大きな特徴は、1冊の本代に相当するほどの入場料がかかること。伊藤店長は「本を売るというより、本との出会いの時間を買ってもらう場所だから」と説明しています。1500円という料金設定は、コーヒー3杯分ほどの料金を意識したそうです。店内では、コーヒーと煎茶をフリードリンクで提供しています。

「文化を喫する」という意味の「文喫」。昨今、インターネットで本をすぐ購入でき、本屋で本を買うことが「非日常的な行為」となる一方で、文化的な匂いのする場所で時間を費やすことに価値が生まれているーー。伊藤店長はそう指摘します。忙しい日々のつかの間、ゆったりとした時間を過ごしながら、本と「恋」をするように出会ってほしいとのことです。

「文喫」の入り口
エントランスの雑誌棚

店に入ってすぐのスペースには雑誌コーナーがありますが、こちらは無料で入ることができ、国内外の約90種類の雑誌を手に取ることができます。なかには、昆虫専門誌『月刊むし』や不動産オーナー向け情報誌『家主と地主』といったニッチなものも置かれています。

エントランスの受付

この雑誌コーナーの向かいに、有料スペースの受付があります。ホテルのレセプションを意識した設えです。入場料1500円を払って、入館バッヂを受け取り入場します。

選書室

入場すると、「選書室」と呼ばれる書籍の販売コーナーがあります。人文科学や自然科学、デザイン、アートなど様々な分野の新刊本が約3万冊あります。伊藤店長は「非日常的な本を選びました。普段あまり見ることのない本との偶発的な出会いをとことん楽しんでほしいです」と話します。入場料をとる仕組みにすることで、「売れる本」だけではなく、マイナーでニッチな本も置くことができるといいます。

たとえば「世界のヤバイマンガ!」というコーナーには、TOM GAULD『Mooncop』や横山裕一『Ourselves』 といった国内外のユニークで前衛的な漫画が置かれていました。普段本屋で手に取ることのなさそうな本でも、ふと手に取ってみたくなります。

本を買わずに、店内で読むこともできる

閲覧室

ひとりで過ごすのにおすすめなのは「閲覧室」です。12席の座席が並んでいます。本を買わずに、店内で読むこともできます。大学の図書館のような雰囲気で、本の世界にじっくりと入り浸ることができそうです。

研究室

閲覧室の奥には、グループ利用向けの「研究室」があります。仲間と本について談笑したり、打ち合わせをしたりするのに向いているそうですが、「おひとりさま」の利用も問題ないとのことです。ちなみに、左奥の壁にある額縁の中には、閉店した青山ブックセンターの壁が展示されています。

喫茶室の入口
喫茶室

一方、入口近くの右手にある「喫茶室」では、コーヒーと煎茶をフリードリンクで提供します。牛ほほ肉のハヤシライス(1080円)などの食事の販売もしています。小腹が空いたときに、ひと休みするのによさそうです。

「ひとりの世界に浸ってほしい」

喫茶室の奥のイスに座る伊藤店長

伊藤店長は「ひとりの時間がないと死んでしまう」というほどのひとり好き。ぜひ「おひとりさま」に来てほしいと力説しています。伊藤店長オススメの過ごし方は、喫茶室奥の六本木ヒルズが見えるイスにひとりで座って、本を眺めながらうつらうつらとすること。店内で一眠りしても全く問題ないといいます。

喫茶室奥のイベントスペース
喫茶室奥の寝転がれるスペース

喫茶室奥の大きな窓があるスペースでは、靴を脱いで落ち着くことができます。クッションを枕にして、寝転がりながら本を読むのもよさそうです。

本を読んで、食事をして、一眠りするーー。そうした「ひとりの気ままで贅沢な時間」を買うのだと考えると、1500円の入場料も高くないと言えるかもしれません。伊藤店長は「おひとりさま」のお客さんに向けて、次のように語っていました。

「本はひとりで読むものだと思います。人と語らって共有するのも楽しいですけど、結局はひとりで読み込んで完結するものだと思っています。『文喫』で、ひとりの世界に存分に浸ってみてください」

 

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