「平成の次は昭和でもいい」中川翔子さんとめぐる「オヤジの聖地」ニュー新橋ビル

「平成の次は昭和でもいい」中川翔子さんとめぐる「オヤジの聖地」ニュー新橋ビル
新橋駅前にそびえるニュー新橋ビル

「オヤジの聖地」。いつのころからか、そう呼ばれるようになった東京・新橋駅前のニュー新橋ビル。対照的に「サブカルの聖地」と呼ばれるのは、中野駅からほど近い中野ブロードウェイ。足を踏み入れるのに勇気がいりそうな雰囲気が漂う2つのビルの、さらにディープな場所を巡るツアーが11月20日、実施されました。

この「ディープツアー」には、歌手・女優の中川翔子さんが同行し、「昭和」や「レトロ」を感じさせるものに対する愛を語りました。このツアーの様子を2回に分けて紹介します。前編は、ニュー新橋ビルのツアーの模様です。

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中川翔子さん(前列中央)とツアー参加者たち

ディープツアーを主催したのは、両ビルの商店会や商店街振興組合。ニュー新橋ビルのツアーには8人が参加しました。参加者のなかには「子供のころ、電車からこのビルを眺めていた」という年配の女性や、「この日のために仕事を早退してきた。古いビルが好きで築53年の団地に住んでいる」という20代男性がいました。

ニュー新橋ビルの完成は「『ドラゴン危機一発』の年ですね」

参加者はまず、8階のオフィスフロアにある会議室に移動しました。ニュー新橋ビルの店舗をよく訪れる人でも、あまり立ち入らないであろうエリアです。ここで中川さんと合流し、ニュー新橋ビルの歴史について説明を受けました。

ニュー新橋ビルが建つ場所には、戦後「闇市」がありました。これが「新生マーケット」へと発展し、マーケットの店舗を組み込むかたちで、1971年、ニュー新橋ビルが完成しました。「ブルース・リーでいうと『ドラゴン危機一発』の年ですね」と、中川さん。

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1945年秋の新橋駅前。闇市があり、人でごった返している

ツアーは、壁がタイル貼りになっている階段スペースの見学から始まりました。ニュー新橋ビルの内部は店舗が多くて迷いやすいため、当初から階段ごとに青、白、赤と色の異なるタイルを使っているといいます。中川さんは「3かい」「4かい」と書かれたレトロな案内板を見て、「フォント萌えがすごい!」と驚嘆し、スマホで撮影していました。

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レトロな雰囲気がただようフォントとタイルの壁

その後、参加者たちは、かつてJR新橋駅と直接つなげる計画があったともいわれるテラスに出たあと、巨大なネオンサインの下のスペースに案内されました。ここはふだん立ち入ることができない場所で、かつては大手建設会社・竹中工務店の事務所兼倉庫として使われていたといいます。

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巨大なネオンの下にあるふだんは立ち入れないスペース

壁一面に、昔の新橋駅周辺の写真が貼られており、参加者たちはしばし見入りました。中川さんもレトロな写真を前に「これはぜひ、ビルの1階にも飾ってほしい」と発言。「平成の次は、もう1回『昭和』でもいいんじゃないでしょうか」と、昭和という時代に対する思い入れを語っていました。

昭和レトロな雰囲気が残るのは「自分の代だけでいい」と考える店主が多いから

さらに、新生マーケット時代からある居酒屋「初藤」や、古いゲーム機が並ぶゲームセンターなどを巡ります。平日の午後であるにも関わらず、麻雀や囲碁を楽しむ会社員の姿が多く見られました。「みぼうじんカレー」という名のカレー屋さんの前では、参加者から「食べてみたい」と声があがっていました。

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「懐かしい!」という声もあがった往年の麻雀ゲーム

そして一行は、ツアー最終目的地・喫茶店「フジ」(地下1階)へ。ビル完成時から営業している店で、現在のマスターは3代目。店内に飾られた富士山の大きなパネルは、マスターが代替わりするごとに変更されます。

新生マーケット時代にこの地で生まれ育ち、今はビルの1階でジュースバー「オザワフルーツ」を営む荒井貴子さんもフジに駆けつけ、当時の思い出を語りました。

「ニュー新橋ビルには(新生マーケットの)商店街の方々が入りました。当時は個人の商店があって、お肉屋さん、パン屋さん、薬屋さんと商店街の雰囲気がありました。今では商店街のイメージは薄れましたが、古いビルですから、皆さんつながりを大切にされています。今も『自分の代だけでも店を続けよう』、『自分の代だけでいい』と考える人が多いので、レトロな雰囲気が残っているのではないでしょうか」

これに中川さんは「すばらしい!」と声をあげ、「代が替わってお店がおしゃれになると、こうして変わっていくものなのかなという思いと、寂しいという思いがあるんです」と話していました。また、ニュー新橋ビルのディープツアーについて聞かれると、

「昭和の素晴らしさに気づき始めているけど、まだわかっていない友人を連れてきたい。私は純喫茶とか、昭和のフォントが好きで、どこで見られるのかなと思っていたら、ここにあった。歴史の尊さとか、『昭和をもっと知りたい』という気持ちが加速していたので、皆さんと一緒に知ることができてよかったです」と語っていました。

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参加者にとって「オヤジの聖地」は珍しいものばかりだったようだ

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