仕事に疲れたら、植物いじりと飲み歩きで気分転換〜沖縄・東京二拠点日記(第9回)

仕事に疲れたら、植物いじりと飲み歩きで気分転換〜沖縄・東京二拠点日記(第9回)
沖縄県那覇市の筆者の自宅周辺にいた猫

10年ほど前から、大好きな沖縄と東京の二拠点生活を続けている。毎月一人で那覇に行って、一週間ぐらい過ごして、また一人で沖縄を離れる。沖縄のあらゆることを楽しみながら、沖縄で取材して原稿を書き、目の前で起きるいろいろな問題に直面して悩む。そんな日々の生活を日記風に書きつづる連載コラム。第9回は、那覇市内の自宅で育てている沖縄の植物の話など。

生命力豊かな植物でいっぱいになったバルコニー

【7月某日】 自宅のバルコニーで育てている植物の一部が枯れかけていることに気づいた。設置してあった自動水やり装置が電池切れになっていたのだ。あわてて電池を入れ換え、息を吹き返しそうにない葉や枝を伐った。そうすると、すぐにまた葉っぱが出てくる。沖縄の植物は強いのだ。

10年前にもらったときは数十センチほどの高さだったガジュマルの枝が葉をつけ、いまはぼくの身長をこえるほどに育った。那覇市の真嘉比にあるホームセンター「サンキュー真嘉比店」の植物コーナーが充実しているので、そこで一人で植物をさがすのも楽しみの一つ。バルコニーに置いた鉢の数は40以上になった。

沖縄・東京二拠点日記(第9回)
那覇市内の自宅のバルコニーは植物の鉢でいっぱい

ずいぶん枯らしてしまったが、大きく育った植物も多い。いまはジャングルみたいになっているが、バルコニーで黙々と剪定したり、枯れ葉を掃除したりするのも、ぼくの大事な時間だ。無心になれる。ただ、汗だくになるから、すぐにシャワーを浴びる。

この日は原稿を書くことに疲れてしまったので、はやくから開いている店を栄町でさがして、一人で歩いて出かけることにした。

「下町ライオン」というセンベロを売りにしている店が新しくできたことに気づき、暖簾をくぐった。17時からあけているそうだが、そのうち15時からあけたいという。飲み物3杯と料理1品で1000円。料理は羊の餃子をチョイスした。美味しい。これに加えてビールジョッキ3杯が飲めるのだから、安い。すでに酔っぱらってきた。

近くに住んでいるカメラマンの深谷慎平君と建築家の普久原朝充君も合流して、立ち飲み居酒屋の「トミヤランドリー」へ移動。煮込んだ牛の腸にカレールーをかけたカレー串などを食べる。

沖縄・東京二拠点日記(第9回)
那覇市の栄町にある居酒屋「下町ライオン」

トミヤランドリーから違う店に移動しようとしたら、店を任されている慎ちゃんから、近くにできた居酒屋を紹介してもらったので、行ってみることにした。栄町はこうやって口コミで店の情報が広がっていく。

紹介された店は、安里駅前にできたばかりの「福岡アバンギャルド」。ここでもホルモンの串を食べたが、あっさりとした味付けで煮込んである。珍しい豚の肺もある。

これは逸品だとうなっていたら、ジュンク堂那覇店の店長の森本浩一さんと、大手広告代理店の那覇支店につとめる杉田貴紀さんが合流してきた。杉田さんは、ぼくの名古屋の中・高校の同窓で、2年後輩にあたる。彼が東京から那覇に異動してきてから知り合った。

そこから酒のピッチが上がり、関西出身の森本さんが「どうしても粉もんが食べたい」と言い出して、壺屋にある「蛸屋本店」へ異動し、焼きそばやネギ焼きでビールを飲む。その後、アーケード下の道路にテーブルを出して飲める「でん助」まで歩き、日本酒を飲み始めたが、そこで全員が力尽きた。

沖縄・東京二拠点日記(第9回)
「福岡アバンギャルド」のホルモン串

ヤンキーに「弟子入り」した社会学者

【7月某日】 社会学者の打越正行さんと栄町の「トミヤランドリー」で合流。打越さんは、沖縄の暴走族に弟子入りして、アウトロー少年たちの中にもぐりこんで観察を続けてきた。近く、『地元を生きる━沖縄ヤンキーのエスノグラフィ』と題した本を出版する予定だ。

彼は沖縄の暴走族の下っ端として弟子入りして、ヤンキー少年たちが働く工事現場でもいっしょに働き、酒と暴力と先輩・後輩関係に支配された世界に数年どっぷり漬かった。こんな調査をやった社会学者をぼくは知らない。すごい人だ。

打越さんと出会ったのは、安里のスーパーだ。作家の仲村清司さんと待ち合わせしていたら、焼鳥を買っている打越さんとばったり。それが初対面だった。3人で飲もうということになり、栄町のフレンチホルモンの「ブーシェ」でワインをがぶがぶ飲んだ。酒が入ると、普段から大きい声がさらにデカくなり、豪快に笑う。豪気な人だ。

ぼくは、売春街に生きる人々をテーマにした『沖縄アンダーグラウンド』を書くために、沖縄の夜の街を歩き回っていたが、そのときに取材していた人々と、打越さんが調査していた人々の生活や階層がけっこうかぶり、話が止まらない。

沖縄・東京二拠点日記(第9回)
社会学者の打越正行さん(左)、筆者・藤井誠二(中)、作家の仲村清司さん(右)

沖縄のヤンキーは、成人式の派手な騒ぎぐらいしか全国ではニュースにならないが、打越さんは沖縄の「階層社会」を考える線上でヤンキーをとらえ直している。すごい仕事だ。

打越さんとの話が盛り上がり、10月にジュンク堂那覇店でいっしょにトークライブをやることになった。

【7月某日】 昼間は原稿を書いていたが、夕刻になると、仲村清司さんと普久原朝充君と合流。我々の会議室と化している居酒屋「串豚」へ向かった。

牛のハラミと豚のハラミ串を食い、生ビールと黒ホッピーをごくごく飲みながら、たわいのない話をする。政治的な話はあまりしない。ハラミはいい熟成具合でじつに美味しい。やっぱり「串豚」は落ち着く。

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