ラブレター、書いてみませんか? LINEやメールにない「濃度」があるから

ラブレター、書いてみませんか? LINEやメールにない「濃度」があるから
ラブレターを譲ってくれた女性

「渡せなかったラブレター、1通500円で譲ってください」。ネットの掲示板にこんな一文を掲載してみました。こんなお願いに応えてくれる人などいないだろうと、なかば冗談のような投稿でしたが、何人かから連絡をいただき、驚きました。

こんな募集をしたきっかけは、数年前、筆者の部屋から古いラブレターが出てきたことでした。仕事関係の書類を探していて、偶然、10年以上前に書いたラブレターを見つけたのです。

ネットで「渡せなかったラブレター」を募ってみた

当時働いていた会社の同僚の女性に渡すつもりで書いたものの、「すでに付き合っている人がいるので受け取れない」と、受け取る前に断られたものです。広い意味で「渡せなかった」ラブレターでしょう。

読み返しているうちに、当時の記憶や思いがよみがえってきて、ひとり気恥ずかしくなりました。と同時に、同じように「渡せなかったラブレター」を引き出しの奥に眠らせたままの人がほかにもいるかもしれない。これを集めて展覧会を開けないだろうか? そんな考えが頭に浮かんだのです。

もちろん、筆者のラブレターも展示するつもりです。しかし、知人や友人にたずねても、みんな「ない」といいます。本当にないのかしれませんが、筆者にラブレターを見せることを躊躇した可能性もあります。

そこで、最近になって、ネットの掲示板で「渡せなかったラブレター」を募ってみたのです。数日間のうちに男性、女性どちらからも連絡がありました。

ラブレター_1
筆者の「渡せなかったラブレター」(画像処理済み)。カッコつけて原稿用紙に書いている

「今の彼に見つかりたくないが、捨てられない」

募集したのは「渡せなかったラブレター」です。しかしながら、最初にあった問い合わせは「趣旨とは異なるが、過去にもらったラブレターを買い取ってほしい」というものでした。

そのラブレターは、連絡をくれた本人が書いたものではないため、いつか開く予定の「渡せなかったラブレター展覧会」に出すわけにいきませんが、「ラブレターを売りたい」という人の考えや思いが気になって、1通だけ譲ってもらうことにしました。

自分がもらったラブレターを売りたいというのは、Kさんという若い女性でした。名刺を渡して、「なぜラブレターを売ろうと思ったのですか?」とたずねてみました。「いま付き合っている彼氏に見つかって気まずい思いをしたくない。でも、捨てられるものでもないから」と教えてくれました。

ラブレターを書いたのは、女性が大学時代に付き合っていた留学生からもらっていたもの。彼が海外旅行に行く前にくれたものだといいます。その手紙には、「ひらがなの『ち』と『す』を間違えないようにする」と書いてありました。これは、以前、彼がくれたラブレターで間違ったことがあったから。

「浮気をしたら歯を上に引っぱる」という記述もありました。こちらは、Kさんが当時、歯列矯正をしていたため、それを邪魔してやるぞというジョークだそうです。そんな思い出を、実に楽しそうに話すKさんですが、彼とは共通の友人をめぐる些細なケンカがもとで、別れてしまいました。

ラブレターはお金がなくても渡せるプレゼント

いまの若い人はLINEでの連絡が主で、手紙のやりとりをすること自体、少ないのでは? そんな疑問をぶつけてみると、Kさんは言いました。

「学生時代はあまりお金がないから、好きな人にプレゼントしたくてもできない。でも手紙なら書けるので、私もよく書いていました」

グラフィックデザイナーであるKさんは今、自分でデザインした便せんを使って、好きな人にラブレターを書いていると教えてくれました。

たった1通の短いラブレターにも、送り主と受け取った側の二人にしかわからない言葉があったり、笑ってもらいたい文章があったり、まじめに伝えたい思いがあったり。限られたスペースに推敲して書くことが多いからでしょうか、ラブレターには、LINEやメールにはない“濃度”があるようです。

筆者が書いたもののように「渡すことができなかったラブレター」にも、文字数を上回る情報量が詰まっているように感じられました。いかがでしょう。

ラブレター、書いてみませんか?

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