「まだ88歳。あと2年は踊りたい」 大道芸人・ギリヤーク尼ヶ崎さんが「50周年」の踊り

「まだ88歳。あと2年は踊りたい」 大道芸人・ギリヤーク尼ヶ崎さんが「50周年」の踊り
東京・新宿の「新宿三井ビル55ひろば」で踊るギリヤーク尼ヶ崎さん

88歳の大道芸人、ギリヤーク尼ヶ崎さんが10月8日午後、東京・新宿のビル前広場で芸歴50周年の踊りを披露しました。ギリヤークさんが街頭での舞踊公演を始めたのは38歳のとき。以降、観客からの「投げ銭」で生活してきました。この10月で、大道芸人としての芸歴が50周年になります。

この日の公演は14時からでしたが、12時ごろにはすでに約50人のファンが早くも思い思いの席でギリヤークさんの登場を待っていました。開演の直前には、その数が500人近くになりました。車椅子に乗ったギリヤークさんが姿を現すと、観客から「ギリヤーク!」「日本一!」などの掛け声が飛びました。

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「背骨が変形する病」と戦いながら

著書によると、ギリヤークさんは「脊柱管狭窄(せきちゅうかんきょうさく)症」を患っています。背骨の一部が変形し、下半身に痛みがあるといいます。そのせいか、ギリヤークさんは腰が大きく曲がっていて、公演中もほとんどうつむいた体勢でした。

ギリヤークさん自身も「たくさんの方がいらっしゃってくださったが、自分が見えるのは(目の前の)この空間だけ」と語っていました。それでも、踊りのなかで顔をあげる場面があると、ギリヤークさんの鋭い眼光が見えました。

この公演では、「じょんがら一代」、観客も一緒になって踊る「よされ節」、チャンバラに着想を得たという「果たし合い」、入れ歯をはずして演じる「念仏じょんがら」、ふんどし姿になる「老人」が演じられました。

「念仏じょんがら」では、会場にある階段をのぼり、上から観ていたお客さんのあいだを通り抜けて、観客を沸かせていました。

ギリヤーク尼ケ崎 2
新作の踊り「果たし合い」で鋭く睨みつけるギリヤーク尼ヶ崎さん

『50年やってこのざまか』と思われるかも知れないが、もう1回」

「果たし合い」は新作の舞で、今回がお披露目。刀の鍔(つば)を持って演じるものですが、これは以前、新宿の路上で踊って警察官に注意され交番に連れられたとき、一緒についてきてくれたという俳優で長年の友人の近藤正臣さんから借りたものだといいます。

ギリヤークさんは「老人」のあと、「『果たし合い』をもう1度やりたい。初めて踊ったせいか、あがってしまった。『50年やってこのざまか』と思われるかも知れないが、もう1回」と言って、「果たし合い」を再演しました。

公演の途中から、ギリヤークさんのもとには色紙に包まれた多数の「投げ銭」が、ほうり投げられていました。

終演後、ギリヤークさんは2年くらい前から身体が曲がって驚いているとしつつも「こういう身体になっても幸せ。まだ88歳。あと2年は踊りたい」と語ると、観客から大きな拍手がありました。「結婚もしないで独身。最初は寂しいと思ったけど、みなさんが(舞踊を観に)来てくださるので寂しくない」とも語っていました。

またギリヤークさんは、「夢があるんです。東京オリンピックに出たいんです」とし、2020年の東京オリンピックの閉会式で主催国のパレードをやる際には、そこに加わることを目標としていることを明かしました。

ギリヤーク尼ケ崎 3
高い位置にあがって踊り続けたギリヤーク尼ヶ崎さん

ギリヤークさんの舞踊を直接観るのは、昨年に続いて2回目だという30代の男性は、「ギリヤークさんには『この人はいったい何なんだ!』と思わせる凄みがあります。昨年よりも体調が悪そうだったので、階段をあがっていったときは驚きました。あと2年と言わず、60周年、70周年まで踊り続けてほしい」と話していました。

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