ひとりでたき火を見つめる「ソロキャンプ」 だらだら過ごすだけで癒される

ひとりでたき火を見つめる「ソロキャンプ」 だらだら過ごすだけで癒される

ひとりでキャンプをする「ソロキャンパー」と呼ばれる人たちがいます。ライターでブロガーの佐久間亮介さんもそのひとりです。現在28歳の佐久間さんがキャンプにハマったのは、学生だった東日本大震災の直後。ボランティアとして被災地を訪れたことがきっかけでした。

「2011年の5月か6月、震災まもないころでした。ボランティアに参加するには『食べ物と寝る場所を自分で用意できる人』っていう条件があって、友だちが持っていたテントで泊まったんです」。そのとき、初めてテントで寝るという体験をしたといいます。

佐久間さんは、イラストレーターのこいしゆうかさんや、カメラマンの猪俣慎吾さんとユニット「with camp」を結成し、キャンプ関連の情報サイトを運営したり、アウトドアグッズのカタログを監修したりしています。

そんな彼らは、9月28日から30日まで千葉・幕張メッセで開催されている、「クルマ✖️旅」をテーマにしたイベント『カートラジャパン2018』で、with campとしてキャンプの楽しさを伝えるブースを出展していました。

「『ピクニックに行こうよ』『お茶しようよ』みたいな感じでキャンプに行く。僕らが目指すのは、それくらいナチュラルな状況」という佐久間さんとこいしさんに、ソロキャンプの始め方について話を聞きました。

はじめの一歩は「個食個泊のみんなでキャンプ」から

ーーキャンプが好きな2人は、やはり子供のころからアウトドアに慣れ親しんできたのでしょうか。

佐久間:いえ。僕は震災のボランティアのときにテントで泊まるまで、キャンプをした経験がありませんでした。

こいし:私も完全にインドア派で。ゲームのRPGで1日10時間くらい平気で遊んでいました。

ーーでは、どのようにキャンプに目覚めたのでしょう。

こいし:私は以前、会社員で、営業事務の仕事をしていました。その同僚がキャンプに誘ってくれたんです。インドア派だったので、イヤだなと思ったんですが、会社はエアコンが効いていて、窓の外の風景はビルだけ。「季節を感じられることがしたい」と思っていたころだったので、行ってみたんです。そしたら、カップルとか老夫婦がのんびり星空を眺めたり、たき火したりしている。キャンプって子供とか家族のためのものだと思っていたので、イメージが変わりました。

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20代なかばまでインドア派だったというイラストレーターこいしさん(提供:with camp)

ーー河川敷でバーベキューするような集まりではなくて、本格的なキャンプだったんですね。

佐久間:いま僕らがやっているのも、河原に集まってみんなでワイワイ盛り上がるのとは、また違うんです。

こいし:そこがなかなか伝わらないんです。ただただ、癒されるための時間を過ごす。そっち側でありたいんですよね。

ーーキャンプをするようになってからもうひとつ、「ソロキャンプ」をするというステップがありますね。そこにはどんなきっかけがあったのですか?

佐久間:僕は就職して会社員になってから、キャンプ道具一式を買って、本格的にキャンプをするようになったんですが、2年で会社を辞めて、友だちとキャンプで日本じゅうを旅したんです。そのなかでバックパックを背負ってひとりで沖縄に行ったんです。それが僕のソロキャンプの始まりでした。そこからですね。

こいし:私は「女性のひとり旅」に対する憧れがあったんですが、計画を立てて行動するのが苦手で。宿を予約するのも苦手。キャンプだったらもっと自由に行けるかなと思ったのがきっかけです。

ーーソロキャンプって、思い立ってすぐに簡単に始められるものですか?

こいし:まず「ソロキャンプスタイルで、みんなでキャンプする」というのをやりました。

ーーどういうことですか?

こいし:私はこれを「個食個泊」と呼んでいるんですが、友だちと集まるものの、自分の食べ物は自分で用意して、自分で用意したテントで寝る。自己完結型のキャンプ、いわばソロキャンプの練習会ですね。それで何回か経験を積んでから、ソロキャンプを始めました。

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ソロキャンプ第1歩としての「個食個泊」スタイルのキャンプ(提供:with camp)

ーーなるほど。ただ、ひとりでテントに泊まるのは危険な気がします。どのような点に注意しているのでしょうか。

こいし:あらかじめ、キャンプ場の管理人に「ひとりで泊まります」って伝えます。すると、家族連れが泊まっている場所を教えてくれるんです。あとは、隣のテントのご家族にひとりであることを伝えておけば、何かあったときにすぐ気づいてもらえると思います。

佐久間:ソロキャンプも基本的にキャンプ場に泊まるので、ソロキャンパー同士で会話が生まれることが多いんですよ。「その道具、かっこいいですね」みたいなところから。

ーーひとつのテントで友だちと一緒に寝るキャンプとソロキャンプ、どちらが楽しいですか?

こいし:ソロのほうが気楽ですよね。グループキャンプって、わかっている人がわかっていない人をおもてなしして、わからない人はその人を頼り続けるという構図ができてしまうんです。そうじゃなくて、さっき話したような「個食個泊」スタイル、テントや食事はそれぞれが準備するという、そういうキャンプが楽しいんです。もちろん、たまに友だちと一緒に寝るのもいいんですが、夜中にトイレで起きたとき、隣で寝ている人を起こしてしまうのも申しわけなくて。

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キャンピングカーやキャンプ用品が並ぶ『カートラジャパン2018』の会場

ひと晩じゅうでも向き合いたい たき火の魅力に気づくとき

ーーソロキャンプを始めるにあたって、おすすめの場所ってありますか?

こいし:一度行ったことのある場所がおすすめです。友だちと一緒に行ったところに、今度はひとりで泊まってみる。私自身は、そうやって選びました。

佐久間:具体的な場所でいうと、「北軽井沢スウィートグラス」とかいいですね。この前、仕事で行ったんですけど、同行した人が「ここなら、ひとりでも寂しくないね」って言ったのが印象に残っていて。よく、「ソロキャンプって寂しくないの?」って言われるんですけど、最初のうちは、周りに人がいるけれど、ひとりになれる空間もある場所で、楽しむといいんじゃないでしょうか。

ーー実際、夜に寂しくなることはないんですか?

佐久間:夜はたき火をするんです。たき火を見つめながら、酒を飲む。季節的にはちょうど今ぐらいがちょうどいいですね。

こいし:暑い季節だと、たき火の気持ちよさがまったくないんですよ。たき火って、日常にはないものですけど、たき火の魅力を知ると、「あ、これ、ひとりでひと晩じゅうたき火していたい」って気持ちになるんです。そこがソロキャンプの入り口としてはでかいなって思います。

たき火って、お肉を焼くときに遠赤外線で焼くみたいな、じんわりとした暖かさがあるんですよ。映画なんかで見る、暖炉の前で編み物をするおばあちゃんみたいな感じになるというか。それにたき火は、明かりになったり、暖かくなったり、調理に使えたりする。人間の本能みたいなものが、そこに反応するといいますか。

佐久間:枝を燃やしたり松ぼっくりを燃やしたりして「火を育てていく」ところに、男心がくすぐられるというのもありますね。

ーー持っていく物が多くて、車を持っていないと難しいんじゃ……というイメージもあります。

こいし:車がなくても問題ないです。徒歩キャンプといって、電車で移動してキャンプ場に徒歩で向かうというのもあります。ただ、今回の「カートラ」というイベントにからめて言うと、私はキャンプを始めてから車を買いました。友だちにはバイクを買ったという人がいます。キャンプするようになると、行動範囲が広がっていくので。

佐久間:食べる物はキャンプ場近くの道の駅で買うとか、コンビニでカップラーメンを買うとか、そういうところから始めても構わないと思います。

ーーそこまでしてソロキャンプをする、その魅力はどこにあるんでしょうか?

こいし:部屋にひとりでいるくらいなら、ひとりでキャンプしているほうが気が滅入らなくて済みます。

佐久間:こいしさんがときどき言ってるのが、「土日を家でだらだら過ごすと、時間の喪失感がすごい」と。でもキャンプをしていると、同じようにだらだらしていても「キャンプだ」って言える。

こいし:ただ寝て食べてるだけなのに「キャンプをしたな」って気持ちになれる。

佐久間:その感覚は、ソロキャンパーのなかで持っている人が多いと思います。ソロキャンパーっていうと、「アクティブ」だとか「ストイック」っていうイメージを抱く人が多いんですけど、やってることはほんと、つまみを作ってぐだぐだ酒を飲んでるだけってことがあるんですよね。

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