ダンボールやロープで操作する「独特すぎるゲーム」 我が道をゆく「ひとり開発者」たち

ダンボールやロープで操作する「独特すぎるゲーム」 我が道をゆく「ひとり開発者」たち

千葉・幕張メッセで9月20日に開幕したゲームの見本市「東京ゲームショウ」。大手のゲーム会社が大金を投じて開発したゲームが注目を集めるなか、個人が「ひとり」で開発したゲームも出展されています。彼らの作品はゲームショウの会場の一画、「インディーゲームコーナー」で見ることができます。

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東京ゲームショウ2018は、9月20日から23日まで(20日、21日はビジネスデイ)、千葉・幕張メッセで開催されています。昨年は、25万人以上が訪れました。インディーゲームコーナーは、独立系の開発者がオリジナルのゲームを出展するエリアです。

「インディーゲーム」の定義については、ネット上でもさまざまな意見がありますが、その多くが「大手ゲーム会社などの資本協力なしに、ひとりまたは少人数のチームが開発したゲーム」で、かつ「2次創作コンテンツではないもの」です。

インディーゲームコーナーは、大手のゲーム会社なら1社で使いそうなスペースですが、そこに約140の小さなブースが並んでいました。

ダンボールを持ち上げたり下ろしたり『箱だけのブルース』

そのひとつで出展されていた『箱だけのブルース』は、フリーランスのゲームデザイナー中野亘さんが、ほぼひとりで作ったゲームです。

「野球拳で負けて裸になった主人公が、拾ったダンボールで股間を隠しながら家を目指す」という内容で、プレイヤーは実際に底を抜いたダンボール箱に入って遊びます。プレイヤーがダンボール箱を持ったまましゃがむと、画面内の主人公が箱のなかに隠れます。前から通行人が現れたとき、隠れてやり過ごすわけです。

逆に、プレイヤーがダンボール箱を持ち上げると、主人公は家に向かって歩き出します。箱を高く持ち上げるほど、主人公が早く走ります。通行人に見つかると「おまわりさーん」と叫ばれてゲームオーバーです。

東京ゲームショウ2018・インディゲームブース
ダンボールをかついで移動する『箱だけのブルース』

中野さんはこのゲームを「ギュッとまとめると2日くらい」で作ったといいます。元になったゲームは、24時間で“あほ”なゲームを作るイベント「あほげー」に、ひとりで出品したもので、当初はPCのマウスで主人公を操作するものでした。

そこに、友人の協力を得て、ダンボールそのものを使ったデバイス(コントローラー)を加えました。ある大手ゲームメーカーのプロデューサーが称賛したという『箱だけのブルース』ですが、床との距離を測る特殊なセンサーを使っているため、一般販売には向かないようです。

中野さんは「『こんなのを作ったんだ』と笑ってもらえれば、それでいいんです」と、来場者が遊ぶさまを楽しそうに眺めていました。

独特すぎるロープ型コントローラー『イセキクライマー』

『イセキクライマー』は、フリーランスのエンジニア宮澤卓宏さんが作ったゲームです。ニワトリがロープをたぐって壁を登るゲームで、プレイヤーがロープを引っぱるのに合わせて、画面中のニワトリが壁を登ります。

「面白いコントローラーを考えてからゲーム内容を作っていく」という宮澤さん。実は、『箱だけのブルース』の制作者・中野さんの友人で、ダンボール箱デバイスのセンサー部分も担当しています。

東京ゲームショウ2018・インディゲームブース
ロープを引っぱって遊ぶ『イセキクライマー』

『イセキクライマー』のロープを使ったコントローラーは、約3週間かけて作ったもので、ゲームショウに出展されていたのは試作品から数えて4台目。輪になったロープを引っぱることで、先端のローラーが回転し、画面中でニワトリが壁を登るスピードに反映されます。また、モニターの前にはボタンが2つあり、押すとニワトリが左右に移動します。

ニワトリが登る壁には、上から石の球が落ちてきたり、ブロックが邪魔をしたりといった仕掛けがあり、プレイヤーはそれを避けながらロープを引っぱったり、ボタンを押したりします。ちなみに、なぜ主人公がニワトリなのかは「自分でもよくわからない」とのことです。

こちらも、一般向けに販売して、広く遊んでもらうタイプのゲームではなさそうです。宮澤さんは「以前、別のイベントに出したら、みなさん予想以上に笑顔で遊んでくれたので、それ以来モチベーションがあがって続けています」と話していました。

宮澤さんと中野さんに、「互いに相手が作ったゲームをどう評価しているのですか?」とたずねると、2人から「そんなこと考えたこともなかった」と返ってきました。

「ひとり」でゲームを作ることのメリットについて、中野さんは、「チームだとアイデアとアイデアがぶつかることがあります。ひとりで開発している人たちは、ぶつかってしまうくらいなら自分ひとりで作りたいと思っているのでしょう」と話します。

この「とにかく俺が作ったゲームを遊んでくれ」という勢いこそが、インディーゲームの共通項といえそうです。

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