30年近く生きてきて「彼氏がほしい」と思ったことがない

30年近く生きてきて「彼氏がほしい」と思ったことがない
彼氏に割く時間なんてない(イラスト・古本有美)

30近くにもなると、同級生の中には結婚をして、子どもを持つ人が出てくる。まだ結婚をしていない人の中には、「早く結婚したい」と焦っている人もいる。

一方で、「結婚願望がない」という友人も実は少なくない。そういう人たちはいつまでも男とすったもんだして、会う度に彼氏が変わっていたりする。

私はといえば、そういった話を見聞きする度に、結婚願望もないし、そもそも「彼氏がほしい」とさえ思ったことがないなと思う。誰かと会って話したいとか親しくなりたいという気持ちはあっても、「付き合いたい」とは思わない。

「積ん読」とNetflix、休日を捧げるのはこの2つでいい

理由は簡単だ。正直、彼氏に割く時間なんてないし、特定の相手とそんなに頻繁に会いたいと思えない。「付き合っているんだから会う時間を作らないと」と思うと、途端に面倒くさくなってしまう。

友達と遊ぶ予定を入れると、それだけで週末の予定は埋まってくる。溜まり場になっているバーやシェアハウスにも行きたいし、デヴィッド・グレーバーも積ん読のままだ。ゴードン・マッタ=クラーク展もまだ行けていないし、そろそろ美容院にも行かなくちゃ。でももう今日は家でNetflix見たい。『このサイテーな世界の終わり』もいまだに見れてないじゃん!

誰かと継続して関係を築いて、「ゴールイン!」みたいな将来は全く思い描けない。仕事がどうなっているのかもわからないし、なんなら海外にだって飛び出してみたい。いつどんな人と出会うかもわからない。「ずっと一緒にいようね」と言ってもらえるのは、身に余る光栄だけれど、正直「数年後にどうなってるのかさえわからない」というのが本音だ。

付き合う意味がわからない

もちろん親しくなった相手と関係を継続することはあるけれど、それでも「付き合う」という約束をする意味はやっぱりわからない。以前、この疑問をすんなり受け入れてくれた人がいた。

相手の家に上がり込むようになった後、「ちゃんと付き合おう」と言われたけれど、私は「付き合う意味がわからない。会いたい時に会えばいいんじゃないの?」と返した。それ以来、「付き合う」問題は蒸し返されることなく、2年くらいは一緒にいたと思う。週に1回くらい会って、出掛けたり、お酒を飲んだりする。特に不都合は感じなかった。私も向こうも他の相手と遊ぶというタイプでもなかったし。

しかし、すんなり受け入れてくれる人だけではない。私の発言が誤解を招いたこともあった。何度か食事をした男性に「付き合おうよ」と言われたとき、「付き合う意味がわからない。このままでいいじゃない」と返したら、向こうは振られたと思ったらしい。その後は一切会っていない。

結婚もしたくない

当然、私は結婚願望もない。「なぜ」と聞かれても、「ないものはない」としか言いようがない。

どこぞの社会学者が「国家に男女関係を届け出る必要はない」と言っていたが、結婚に関する物言いでこれ以上に簡潔で説得力のあるものにはいまだに出会っていない。

もちろん結婚した方がいろいろお得なのはわかっている。最近もメガバンクに勤める友達が「結婚するだけで住宅補助が月6万円出る!誰か俺と結婚してくれ」と叫んでいた。月6万円の住宅補助があれば、2人で5万円ずつ出せばそれなりの賃貸マンションに住めるもんね。なんてお得なんだろう。結婚すれば、配偶者控除も受けられるし、手当なんかももらえるらしい。

しかしちょっと得するくらいなら、ひとりでいた方が気楽だよな。相手の人生を巻き込んでしまうのも嫌だし、私だって縛られたくない。所詮、私たちはそれぞれの人生をひとりで背負う以外にないのだし。

「いや、損得じゃなくて好きな人と結婚したいじゃん」という声が聞こえてきそうだ。しかしそんなこと言われても、全然意味がわからない。そういう人はぜひ私に説明して下さい。

「アナーキー・イン・ザ・1K」

そんなわけで30年近く生きてきて、「彼氏がほしい」とか「この人と付き合いたい」とか「何歳までに結婚したい」とか思ったことがない。

それでも今の生活は最高だ。大した仕事はしていないけれど、十分面白いし、ひとりで引き込もれる1Kの家賃を払えるだけのお給料をもらい、なおかつDANROで好き放題書かせてもらっている。後はいま原稿を書いているパソコンを閉じて、栗原康の新刊を読むだけなのである。

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