マズ飯レビュー、レーザー写真、婚活体験記…コミケは二次創作だけじゃない

コミケ94で入手した評論・情報系の同人誌

同人誌の即売会「コミックマーケット(コミケ)94」が、8月12日までの3日間、開催されました。出展したサークル数は約34900。来場者数は53万人に上りました。メディアやSNSで拡散される写真から、コミケはコスプレイヤーが闊歩(かっぽ)し、アニメ・漫画の二次創作作品が多く頒布(はんぷ)されるイベントだというイメージを抱く人もいるでしょう。しかし、コミケにはそれ以外のジャンルの作品を扱うサークルもたくさんあるのです。

今回はそのなかから、「評論・情報」や「鉄道・旅行・メカミリ」ジャンルに分類される同人誌をいくつか紹介します。それらに共通してあったのは、自分の好きな世界を知ってほしい、自分たちが素晴らしいと思うものを見てほしいという、作者の“愛”でした。

【写真特集】コミケ94 2日目&3日目のコスプレイヤーたち

核融合研究施設を撮った『LASER 大阪大学レーザー科学研究所』

サークル名「ツインテ」の林佑樹さんによる写真集は、大阪大学の施設「レーザー化学研究所」の設備を撮ったもの。施設には一億度超のプラズマの生成に成功したという「激光XII号」など大型の実験装置があり、それらをおさめた写真は、SF映画に登場する宇宙船の内部にも、メタリックな内臓のようにも見え、眺めていると”中二心”がくすぐられます。

意外とマズい飯を探すのは難しい『英国のマズい飯2』

イギリスのスーパーで、わざとマズそうな食材を買って、食べてみるという企画を実施した同人誌。サークル名は「LIAR EXIT」です。食べものが美味しくないともいわれるイギリス料理ですが、作者によると、特にロンドンではレストランのレベルが向上しており、マズいものを探すのは「簡単ではない」とのこと。発酵食品の「マーマイト」や白子の缶詰などをレビューしています。「ウマいマズいではなく、習慣として慣れていく食べ物」などと正直な一口コメントが付いています。

そんなに語ることある? アウトドア食器『シェラカップの同人誌』

キャンプを扱ったアニメ『ゆるキャン』を見て「いけると思った」というアウトドアファンが作った同人誌。シェラカップという、コーヒーを飲んだり火にかけて鍋として使ったりするギア(アウトドアグッズ)を紹介しています。サークル名は「moetion」。「考えなくてもわかる! シェラカップの持ち方」という見出しには笑いましたが、素人目には同じように見えるカップの違いを、丁寧に解説しています。シェラカップを使った簡単レシピも紹介されていて、料理の写真が実に美味しそうです。

涙ぐましい努力に応援せずにはいられない『婚活反省記』

アラフォー女性のMさんが、これまで60万円以上を費やしたという「婚活」を振り返るマンガ。婚活SNS、婚活パーティ、結婚相談所それぞれの特徴を挙げています。婚活パーティでは、第一印象で誰にも選ばれない現実を突きつけられることがあるなど、経験者ならではの「気づき」がたくさんあります。「相手を探している」とアピールする、ファッション診断を受けて自分にあった服を着る、といった作者の努力には、頭が下がるばかりです。

境界線のある風景は、なぜか懐かしく映る『県境ですっ!4.0』

「これまでに40〜50カ所は訪れた」という県境ファンのぱとタシオさん(サークル名「ぱとや」)による県境探訪本。実際に訪れた県境の風景を写真におさめ、イラスト化したものをまとめた一冊です。巻末には、イラストのどこに県境が通っているか色分けして示したイメージ図もあります。『4.0』では歴史ある場所が選ばれていて、その風景には情緒があり、どこか懐かしく見えました。

マンガそのものが「ほんわか」オーラを放つ『京都の銭湯』

銭湯を扱った同人誌はいくつかありましたが、そのなかから『京都の銭湯』(サークル名「ぱすてるとらっぷ」)を手に取りました。昔からひとり旅が好きだという女性が描いたコミックエッセイで、京都市内の銭湯8カ所を巡っています。タイルの柄や欄間(鴨居と天井のあいだにある飾りの部分)にも注目する作者の視点に癒されます。作者によると「事前にその土地の歴史を詳しく調べたいので、海外よりも国内旅行を優先しています」とのことでした。

評論・情報系の同人誌を扱うサークルは、アニメやゲームを題材としたものほど多くありませんが、それぞれに作者のこだわりが感じられました。これまで自分がまったく注目したことのなかった世界を、ほんの少し覗いてみる。そんなきっかけとなりそうな本ばかりでした。

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