「こち亀」両さんが食した台湾スイーツ「愛玉子」 創業84年の老舗店で昭和を味わう

真夏に食べたいレモンシロップのかかったオーギョーチイ

「愛玉子」と書かれた巨大な看板を掲げた店が、東京・上野にあります。「愛玉子」は「オーギョーチイ」と読みます。おもに台湾で食べられているデザートです。ゼリーのような寒天のような、ぷるんとしたこの食べ物の専門店である「愛玉子」は、マンガ『こち亀(こちら葛飾区亀有公園前派出所)』で、主人公・両さんが立ち寄る店として登場します。

オーギョーチイの作り方は、いたってシンプルです。「愛玉子」の店主・長津正さんが教えてくれました。

「愛玉子という植物の実を乾燥させて、布の袋に入れて綺麗な水のなかで揉みだして。その液体をゼリー状に固めたものがオーギョーチイです」

長津さんによると、愛玉子は台湾の高山にしか生息しない木だといいます。「オーギョーチイには漢方のような効能があるといわれていて、夏の疲労回復とか腎臓によいとされています」(長津さん)。

味わい深い「愛玉子」の巨大な看板

オーギョーチイの専門店「愛玉子」はもともと、1934年(昭和9年)に大衆食堂として開店しました。当時は、カレーライスやラーメンといったメニューのひとつとして、オーギョーチイが提供されていました。これは当時の店主だった長津さんのお祖父さんが、台湾総督府で働く友人から、作り方を教わったものだといいます。

レモン果汁数滴でさっぱり風味に

そんな食堂はいまから40年ほど前、オーギョーチイ専門のお店「愛玉子」になりました。

『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(秋本治・集英社)64巻より。外観がほぼ変わっていないことがわかる

『こち亀』の両さんが「愛玉子」を訪れるのは、単行本の64巻(1990年発行)です。出向を命じられた両さんが、東京・日暮里にある派出所で働くシリーズがあります。そのなかの一話「そして亀有へ??の巻」の冒頭で、その様子を見ることができます。

長津さんによると、「(オーギョーチイは)冷やして食べなきゃダメだよ」と両さんに声をかけているのは、すでに亡くなっている長津さんのおばあさんがモデルだろうとのことです。

店主の長津正さん。東京・上野で生まれ育った下町っ子だ

「愛玉子」でもっとも売れているのが、オーソドックスなオーギョーチイ(600円)。甘めのレモンシロップがかかっており、クコの実がちょこんとのっています。「台湾ではレモンジュースのようなシロップが多いようですが、うちは蜜に近いシロップを使っています」と長津さん。

甘いものはちょっと……という方は、卓上に置いてあるレモン果汁を数滴ふりかけると、さっぱりと味わえます。猛暑の夏、昭和の匂いが残る店内で、ひとりにんまり楽しみたいおやじスイーツです。

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