サザンゆかりの茅ヶ崎で「海フェス」を! フェスディレクターが独立したワケ

フェスオーガナイザーとして独立した杉下正樹さん

毎年5月に横浜・赤レンガ倉庫で開催される「GREENROOM FESTIVAL」(グリーンルーム フェスティバル)。音楽やアートを通して、海やビーチのライフスタイルとカルチャーを伝えるこのフェスには、国内外の有名アーティストが多数参加し、毎年大勢の人でにぎわいます。

このフェスを主催する株式会社グリーンルームに6年間勤め、イベント事業を統括する「フェスディレクター」を務めた杉下正樹さん(35)。「自分のフェスをつくるため」に、今年独立しました。9月15日開催予定の「パシフィックビーチフェスティバル」です。なぜ独立したのか。いったいどのようなフェスをつくろうとしているのか。話を聞きました。

原点は地元・茅ヶ崎のビーチ

――そもそも「フェスをつくる」という仕事をするきっかけのようなものはあったんでしょうか?

杉下:僕は神奈川県の茅ヶ崎出身なんですが、大学生のとき、10歳ぐらい上の先輩がビーチで音楽をかけながら、パーティーをやっていたんです。それで初めて「フェスっぽいもの」に触れて、すごく楽しいなと。自分もやる立場になってみたいなと感じたのがきっかけですね。

大学卒業後は、「いろんなことができそうだから」という考えで、イベント会社に就職しました。イベントと言っても、幕張メッセやビッグサイトで開催するような企業イベントがメインです。スーツを着て、かっちりした企業とやりとりして、今とまったく真逆の雰囲気でしたよ(笑) でも、そこで企画書の書き方など、ビジネスの基礎をしっかり学び、いろいろな業界の人とも出会えました。

――その後、有名フェス「グリーンルーム」を開催している会社に転職することになりますが、もともとファンだったんでしょうか?

杉下:いや、実は行ったことがありませんでした(笑) 会社を受けたきっかけは、妻が「ハナレグミ」(日本のバンド)をよく聞いていて、彼らが「グリーンルーム フェスティバル」に出ていたから、すすめられたんです。そうしたら、受かって。

しかも僕、そこまで音楽マニアでもないんです。普通の、一般的な音楽の知識ぐらい。実はライブで感動するとかあんまりなくて、「音楽が人を感動させていること」に感動するタイプです。「音楽のパワーってすげえ!」みたいな。だからフェスとかに行っても、ライブをあまり見ません。空間に興味があって、「この雰囲気すごい!」とか、いろいろ見て回ってます。

好きじゃないとできない仕事

――グリーンルームでの経験はどうでしたか?

杉下:本当にありがたい経験でした! 僕が入社したのは4月だったんですけど、「グリーンルーム フェスティバル」は5月に開催されるので怒涛の日々を過ごしました。まずは関わる人がとにかく多いので、人の把握。当日はボランティアやアルバイトも含め、2500人程度の人が関わっているんです。それからプロモーション、運営、制作、装飾、飲食店管理、出店管理など、あらゆることを仕事しながら吸収していきました。

結局グリーンルームには6年間いたんですけど、フェスをイチから作るというポジションにいけたのは大きかったですね。この業界ってものすごく人の入れ替わりが多くて、1年単位で辞めちゃう人が多いんです。長時間労働をすることもあるし、いろいろなところとの調整が大変だったり。本当に、好きじゃないとやってられない業界です。

――とても充実していたように聞こえますが、なぜ独立したのでしょう?

杉下:やっぱり、「自分のフェスをやりたい」という気持ちがすごく大きくなってきちゃったんですよね。入社してフェスを作っているときから、「いつかは自分も・・・」という気持ちがありました。やっぱり、イチから作れるといっても「グリーンルーム フェスティバル」は、グリーンルームという会社のフェスなんです。自分がオーガナイザーとなって、自分の思い描いたフェスを開催して、たくさんの人にリアルな感動を届けたい、その気持ちがおさえられませんでした。

――独立するとき、不安はありませんでしたか?

杉下:ずっと会社員としてやってきて急にそうじゃなくなるので、不安がなかったといえば嘘になりますけど、グリーンルームでは「やりきった」と感じていたので。それよりも、「早く自分のフェスやりたくてしょうがない!」っていうワクワクのほうが勝っていました。

音楽以外のところで、いかに楽しませるか

――9月15日には地元・茅ヶ崎のサザンビーチで「パシフィックビーチフェスティバル」を開催しますね。どんなフェスにしたいと思っていますか?

杉下:湘南のビーチで夏の締めくくりとして楽しんでもらって、「茅ヶ崎っていいな」「海って楽しいな」と思ってもらえるフェスにしたくて、「音楽」「BBQ」「アクティビティ」の3本柱を立てました。BBQは、僕が昔から海辺でBBQをやっていたので、同じように楽しんでほしくて。あとはアクティビティとして、ヨガやSUP(スタンドアップパドルボード)、サーフィンなど海を楽しんでもらえるものを計画しています。

ぶっちゃけ、フェスに音楽はあって当たり前なんです。海がぱっと見える場所の良さとか、休憩スペースの快適さ、食べ物。そういうフェスを構成する全体的なものがみんなに響いてくれればいいなと思います。

あとは、サザンビーチに来たことない人がフェスをきっかけに訪れて、後日、「あのとき楽しかったから、サザンビーチに行こうか!」となってほしい。そして、海を好きになって、環境を大切にしようって気持ちが芽生えて。たとえば、海に遊びに行ったときに、ゴミを1つ拾って帰るだけでもいい。フェスをきっかけに、ひとりひとりのムーブメントが環境を守ることにつながると思っています。

――「パシフィックビーチフェスティバル(PACIFIC BEACH FESTIVAL)」というフェスの名前の由来は?

杉下:実はこのフェスの名前にある「パシフィック」は、湘南・茅ヶ崎にゆかりのあるワードなんですよ。茅ヶ崎には加山雄三さんがオーナーされていた「パシフィックホテル」があったり、サザンオールスターズも「HOTEL PACIFIC」という曲を出している。Suchmos も同じく「PACIFIC」という曲を出しています。それぞれ世代が違いながらも湘南・茅ヶ崎を代表する3世代のアーティストに、いつか出てもらいたいという思いと茅ヶ崎にゆかりのあるワードということで「パシフィックビーチフェスティバル」にしました。

――出身地、茅ヶ崎でフェスを開催することへの思いを聞かせてください。

杉下:今年って、茅ヶ崎市70周年、「サザンビーチちがさき」は120周年、そして茅ヶ崎出身のサザンオールスターズが40周年と、なんだか記念が重なっている年なんです。でも、地元の人でさえサザンビーチが120周年とはあまり知らないので、フェスと合わせてそういうことも発信して、地元を盛り上げていければと思います。

――9月15日、晴れるといいですよね。

杉下:そうなんですよ。この間オカマバーで占ってもらったら、80%晴れだと言われたんで、それを信じたいと思います(笑) 2つ占ってくれて、フェスのことと会社のこと。フェスは方角もいいと言われて、会社は2020年以降は伸びるから、それまではコツコツ真面目にやれって言われました。え、気になりますか占い? 今度一緒に行きますか(笑)

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