新しい働き方を示す「WeWork」 人気の秘密はコミュニティデザインにあり

新しい働き方を示す「WeWork」 人気の秘密はコミュニティデザインにあり

2016年に読んだ雑誌『Forbes』の記事で、世界のユニコーン企業(企業評価額が10億ドルを超える非上場のスタートアップ)が紹介されていました。トップ10のうちUberやAirbnbはもちろん知っていましたが、その中に「WeWork」という聞きなれない名前の企業がランクインしていました。

WeWorkは「シェアオフィス事業」を行う米国の会社です。2010年にニューヨークで生まれました。ハフポストに掲載された日本法人ゼネラル・マネージャーのインタビュー記事によれば、現在は世界22カ国74都市の274カ所で、コワーキングスペースを展開しています。会員数は約25万人。

コワーキングスペース自体は日本でも増えていますし、それほど珍しいものではありません。にもかかわらず、前述のForbesの記事では、2016年当時のWeWorkの推定企業価値が約160億ドル(約1兆7700億円)だったので驚きました。いったい、よくあるコワーキングスペースと何が違うのでしょうか。

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デザイナーズホテルのようなオフィス

2017年の夏、サンフランシスコを訪れた際、たまたま知人がサンフランシスコのWeWorkに入居していたので、中を案内してもらうことができました。当時サンフランシスコだけでも8カ所にWeWorkが存在しました。

会社員時代、白い蛍光灯の下、整然とレイアウトされた一般的なオフィスで働いていた私は、初めてWeWorkに足を踏み入れたとき、デザイナーズホテルのような空間の素晴らしさに感動しました。少し暗めで温かみのある照明に、ゆったりとくつろげるたくさんのソファ。好きなだけ飲めるおいしいコーヒー、そしてビールサーバー。そんな空間でノートパソコンを開いて優雅に仕事をしている人たちの姿を見て、すっかり「オフィス」の概念を覆されました。

フリースペースのほか、ミーティングルームや、ガラスの仕切りで隔てられた部屋がいくつもあり、多くのスタートアップ企業の人たちが自分たちのオフィスとして利用していました。

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WeWorkのメンバー(会員)は、メインオフィスとして登録したスペース以外にも、異なるWeWorkで仕事をすることができます。それどころか、世界の様々な都市にあるWeWorkで仕事をすることもできるのです。

アメリカから帰国すると、WeWorkの日本進出が決定したとのニュースを知り、2017年7月に東京都内で開かれた来日イベントに参加しました。クリエイティブな世界観に魅了され、とてもワクワクしました。

そして2018年2月、六本木のアークヒルズ内に日本進出第一号となる「WeWork Ark Hills South」がオープンし、その後、丸の内北口、銀座、新橋にもオフィスができました。

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リアルなコミュニケーションが生まれる工夫

WeWorkが通常のコワーキングスペースと異なるのは、メンバー同士のリアルなコミュニケーションが生まれるようにデザインされていることです。

たとえば、朝食会や仕事終わりにビールを楽しむハッピーアワーなど、毎週様々なイベントが予定されていて、自由に参加し、他のメンバーと交流を深めることができます。入居しているベンチャーの経営者同士でコーヒーを飲みながら情報交換することもあれば、ヨガに参加するために早くオフィスに来ることもあります。

また、メンバーが利用できる専用のアプリがあり、世界中に広がるメンバーたちと有機的につながることができます。ベルリンにいるメンバーが、インドのメンバーとコラボレーションをして、一緒に同じプロジェクトに取り組む。そういうことが、至るところで起きているのです。

こうしたコミュニティデザインこそが、WeWorkの大きな価値だと感じます。

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気になる料金ですが、場所によって若干異なります。私が訪れたWeWorkの丸の内北口店に関しては、自分の固定デスクを持てる「専用デスク」の月額利用料が9万3000円、共用エリアを自由に使える「ホットデスク」が7万8000円、企業向けにガラスで仕切られた「プライベートオフィス」が14万7000円〜となっていました。利用する人数や用途によって最適なプランを選べます。

丸の内北口店では、東京で人気の猿田彦珈琲が常に用意されているので、コーヒー好きの私にとってはとても羨ましく感じました。また、清掃スタッフの方がとても多く、これだけ利用者が多くても、キッチン周りは常に清潔に保たれていました。

出張時にはホテルよりも先に確保する

今年3月に生まれたばかりの丸の内北口店に入居している企業の一つが、クラウド型ビジネスコミュニケーションツールを提供するスタートアップ「Dialpad Japan」です。代表取締役の安達天資さんにWeWorkの魅力をうかがいました。

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ーーどんな点が気に入っていますか?

「コミュニティバーの周りの空間がとても好きで、コーヒーを飲みながらカジュアルに話す機会が増えました。WeWorkのスタッフや異業種のメンバーの方々と自然と仲良くなり、どんどんビジネスが生まれていく予感があります」

ーーガラス張りのオフィスについてはどう思いますか?

「他のメンバーの皆さんの働き方が見え、スピード感が伝わってきます。優秀な方が多いので、フロア全体にオープンでポジティブな空気感が漂っていて、その影響をすごく受けていると感じます」

ーー海外出張時も利用しますか?

「出張先では、ほぼ必ずWeWorkで仕事をしています。ホテルより先にWeWorkのワークスペースを確保します。イスラエルでもシンガポールでも上海でも、世界中どこでも集中して仕事ができる快適な環境があるのは最高です」

7月に入り、日比谷にもWeWorkがオープンしました。さらに、8月には神宮前・原宿にもオープン予定です。1年後にはどれだけロケーションが増えているのか、とても楽しみです。

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