2000日以上「パンダ」を撮影するウェブデザイナー「シャンシャンは子どものような存在」

2000日以上「パンダ」を撮影するウェブデザイナー「シャンシャンは子どものような存在」

昨年生まれたシャンシャンの人気で、連日多くの人が詰めかけている東京・上野動物園のパンダのコーナー。その姿を撮るため、毎日のように足を運ぶウェブデザイナーがいます。高氏(たかうじ)貴博さん(40)。人気ブログ「毎日パンダ」を運営しています。

きっかけは、2011年の夏。仕事の合間に上野動物園に立ち寄った際に、シャンシャンの両親であるシンシンとリーリーに一目惚れしました。それ以来、完全にパンダ中心の生活になったそうです。なぜ、そこまでパンダに惚れ込むことになったのか? 高氏さんの「ホームグラウンド」である上野動物園で話を聞きました。

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「毎日パンダ」を運営するウェブデザイナーの高氏貴博さん

パンダのために残業をしない

<指定された待ち合わせ時間は朝8時。高氏さんはいつもこの時間帯に上野動物園に到着します。もともと朝は苦手だったそうですが、パンダの魅力に目覚めてから、早起き生活を2200日近くも続けています>

――そこまでパンダに惹かれるのはなぜでしょう?

高氏:一言でいうと「癒し」ですね。パンダは平和な生き物で、基本的にスローペース。いつもセコセコ忙しく働いているので、パンダのゆったりした時間に浸れるのは本当に至福のときです。

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パパのリーリー(提供:高氏貴博さん)

――特に好きな仕草やポーズはありますか?

高氏:お尻を突き出して、寝ているところが一番好きです。こっちを向いて餌を食べているポーズが好きな人が多いですが、僕はパンダの後ろ姿こそが一番かわいらしいと思っています。ホワホワっとしてまんまるい感じがいいですね。

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お尻をこちらに向けるシャンシャン(提供:高氏貴博さん)

<高氏さんは到着した8時から開園時間の9時半まで、ウェブデザイナーの仕事やブログの更新をしています。ひとりでまとまった時間があって、作業に集中できるそうです。開園後、ゆったりとした「パンダ時間」に浸ります>

――毎日どれくらいパンダを見ています?

高氏:1時間半から2時間くらいでしょうか。開園の午前9時半から11時くらいまでいますね。

――そのあと、ちゃんと「人間の時間」に戻れますか?

高氏:戻りたくないですよね(笑) でも、パンダを見に動物園に通う習慣ができたおかげで、仕事もメリハリがつくようになりました。たとえば、仕事の納期について以前よりシビアになりました。前日に残業してしまって、翌朝の動物園通いに支障が出ると困るので。一日のスケジュールがシャキッとなりました。

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木に登るパパのリーリー(提供:高氏貴博さん)

――仕事はウェブデザイナーとのことですが、パンダに関係した仕事には関心がないのでしょうか?

高氏:パンダでお金を稼がない。これは一番のポリシーなんです。本も何冊か出していますが、印税を寄付するようにしています。「ジャイアントパンダ保護サポート基金」というところに寄付をすると、上野動物園のパンダの遊具などに活用されるんですよ。

パンダに一目惚れした理由

<昨年生まれたシャンシャンの人気のためか、開園後はまるで朝の通勤ラッシュ時の駅のようです。高氏さんと一緒に歩いていると「毎日パンダの方ですよね?」と何度も声をかけられます。30代の女性は「来られない日は、『毎日パンダ』のTwitterをチェックしている」とのこと。高氏さんは「パンダ好き」のあいだで誰もが知っている有名人です>

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――ブログ「毎日パンダ」を始めたきっかけは?

高氏:あれは2011年の8月、お盆の時期でした。仕事の空き時間に、上野公園をぶらぶら散歩していたんですよ。そしたら上野動物園があった。「ここにあの有名なパンダがいるのか」と軽い気持ちで入りました。暇つぶしのつもりでした。そのときに出会ったパンダに一目惚れして。

――どこに惹かれました

高氏:シンシンが自分のほうにお尻をどーんと向けていた。こんなユニークな生き物がいるんだと思いました。そこに衝撃を受けました。かわいさもありますが、おもしろい動物だなと。それまでは特に好きでも嫌いでもなかったんですよね。

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寝そべっているシャンシャンとママのシンシン(提供:高氏貴博さん)

――好きになったとはいえ、毎日通うのはすごいですよね。

高氏:その日、年間パスポートを買ったんですよ。入場券が1回600円で、年間パスポートは2400円。まあ4回くらいは来るかなと思って。翌日の朝、「年パス買ったし、出勤前に見ちゃおうかな」と。それが何日も続きました。1カ月くらい続けたら、2頭の顔や性格の違いがわかるようになりました。

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子どものシャンシャン(提供:高氏貴博さん)

――どのように違うんですかか?

高氏:シンシン(メス)は自由奔放で、笑顔がすてきな丸顔の美人。赤ちゃんのシャンシャンに構っている暇もなく、餌に夢中になっていることもよくあります。リーリー(オス)はとってもジェントルマンで、優しいパートナー。オスにしては珍しく、おとなしい性格です。

――2頭の子どものシャンシャンはどうでしょう?

高氏:シャンシャンはとってもおてんば。物おじせず、好奇心が旺盛です。ママのことが大好きで、ずっとくっついてまわっていますね。

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おてんばなシャンシャン(提供:高氏貴博さん)

パンダは平和主義

<パンダの写真を真剣な表情で撮影する高氏さん。1日1000枚近くの写真を撮影します。しかし、決して良い場所を独り占めするようなことはせず、来園者がパンダを見るのを邪魔しないように気遣っていました>

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――パンダはどんな性格の動物でしょう?

高氏:パンダはとにかく平和主義。そもそも生存競争を逃れて、山の中の天敵が少ない環境でのんびり暮らしている動物です。基本的に一日中、寝るか食べるかのどちらかです。羨ましいですね(笑) パンダを眺めているときは平和な気持ちになれるので、おすすめです。

――シャンシャンが生まれて、上野動物園のパンダに注目が集まりました。自分が好きだったパンダが有名になって、複雑な思いもあるのでしょうか?

高氏:いえ、そんなことはないですよ。もう子どもや孫のような存在ですから。人気者になっていくのは嬉しいものですよ。パンダはこんなにかわいくて面白いんだと、多くの人に知ってもらいたいと思っています。

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ママのシンシン(提供:高氏貴博さん)

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