「いつ死んでもいい」ポールダンスとともに「好きな道」を歩むオッサン

「いつ死んでもいい」ポールダンスとともに「好きな道」を歩むオッサン

スポーツとしてのポールダンス「ポール・スポーツ」の世界大会マスター部門(40歳以上)で、4連覇に挑むISSEYさん(48)。ポールダンスを広めるため、昨年4月、自身がプロデュースするポールスタジオ「ストリック」(大阪市中央区)をオープンさせました。「好きなことしかしていないから、いつ死んでも後悔しない」。そんなロックな生き方をしていますが、契機は18年前の離婚だったといいます。他人の価値観に縛られず自由に生きる秘訣とは――。

*前編「男もポールダンスを踊りたい!」はこちら

仕事を辞め、ニューハーフバーでバイト

26歳で結婚して、33歳で離婚するまでは「普通」でしたよ(笑)。着物屋さんで宝石のバイヤーをしていました。ピアスして、茶髪のドレッドで、肌も黒く焼いて、パッと見はホストみたいな感じ。見た目とのギャップでお客さんの心をつかんで(笑)、1週間で3~4000万円売ってましたね。優秀な営業マンだったと思いますよ。

離婚で人生が変わりました。長男の養育費を払うことを約束して、あとは自分のためだけに生きようって決めました。

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これからのポール・スポーツ界の未来を語るISSEYさん(撮影・滝沢美穂子)

お金のためにやっていた宝石のバイヤーの仕事はやめて、趣味でやっていたエアロビクスのインストラクター一本に。おかげで、体もひきしまってダンスも踊れるようになりました。

そのころ、「ベティのマヨネーズ」というニューハーフ・バーのバイトを知人に勧められて、踊るようになりました。僕は、女性、男性のどっちが好きというようなくくりは特にありません。自分のことを好きになってくれる人が好きです。物好きな人やなって。でもまあ、ニューハーフのお姉様方はちょっと違ったかな(笑)

人付き合いで困ったことはないですね。何でもオープンにさらけだすようにしています。こちらは無防備。ただ、相手をよく見て「これは禁句だろうな」とかはしっかり判断するようにしています。昼はインストラクター、夜はニューハーフバーのダンサー。稼いだお金は、ポールの国際大会に行くための費用にあてていました。

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日本代表のユニフォームを着て

どこにも属しておらず、社会から孤立しているというような気持ちはありました。でもそれが寂しいとか、つらいというのではなくて。むしろ、自分が唯一無二の存在のようで誇らしくもありました。誰のためにも生きていないので、「孤独死でいい」と思っているんです。本当に。

自分のやりたいことだけをやっているから、「明日死にますよ」と言われても「ああそうですか」っていう感じです。ただ、マンションの中で腐って死ぬと人に迷惑をかけるので、玄関でも階段でも人目につくところで倒れたいなとは思っています。

ポールダンスはすごく過酷な競技

昨年、ポールスタジオを作ったのは、そろそろ僕の番かなって思ったから。世界チャンピオンにもなって、経験も看板も実力もある。そろそろ恩返ししたいなと。ポールダンスの裾野を広げるためにスタジオを増やさなきゃいけない、という思いはずっと持っていました。同じ志しを持った友人に協力していただいて、なんとか形にできました。

そもそも、ポールってすごく過酷だと思っているんです。体操だったら、床にマットが敷いてあるけど、僕たちは固い床の上で演技をして、真っ逆さまに落ちるリスクもあるわけだし。こんな命をはった競技、もっとメジャーにならんと割に合わんやろっていう気がするんですよね(笑)。今はポールダンスを知らない人が多いかもしれないけど、知ってもらう人を増やすためにも、まずスタジオを作りたかった。

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ISSEYさんがプロデュースするポールスタジオ「STORIC」(大阪・天満橋)
ISSEYさんのレッスンは「スタジオサエラ」(大阪・枚方)でも受講できる

世界大会を目指す選手たちで「チームISSEY」というのを結成しています。僕が作ったというよりは、自然発生的にできました。無理に練習時間をあわせることなく、時間があえばお互いにアドバイスしあう関係。このくらいの関係がちょうどいいなと思っています。この中から世界チャンピオンが、僕も含めて2人生まれています。

僕、こないだ東京の表参道のクラブで踊ったんですよ。お客さんにも、48歳のおっさんのポールダンスを楽しんでもらえたようです(笑)。これは世のおじさんにとっては励みになるんじゃないかなと思っています。40歳を超えて人に表彰される、メダルもらうなんてことは、なかなかないですしね。30歳で「ひとりで生きていく」と決めていなかったら、この人生はなかったと思います。

*前編「男もポールダンスを踊りたい!」はこちら

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