日本に負けても陽気に踊る!コロンビアの明るいサポーターたち

日本に負けても陽気に踊る!コロンビアの明るいサポーターたち

連日の熱戦が繰り広げられている、サッカー・ワールドカップ(W杯)。念願だった観戦チケットを手に入れ、開催国ロシアにひとりで飛びました。

今大会は11都市12会場で試合が行われるのですが、なにせロシアは広大な国で、移動に大きな負担がかかります。そこで国営のロシア鉄道は、首都モスクワと各都市を結ぶ無料の長距離列車を観戦者に提供。拠点となるモスクワのカザンスキー駅には、各国の代表ユニフォームを身にまとったサポーターたちが詰めかけていました。

日本代表の初戦(コロンビア戦)が行われたサランスクも、モスクワから東に約600km離れた地方都市で、列車で10時間前後かかります。

試合前日の6月18日15時、モスクワ発サランスク行きの列車に乗り込むと、通路は黄色一色。少なくとも私が乗っていた車両と前後2車両は、日本人は私のみという状況で、恐らく列車全体の9割5分はコロンビアサポーターでした。

日本コロンビア戦_02
サランスク行きの列車。筆者(左端)以外はほとんどコロンビアのサポーターだった

日本のサポーターにとっても、アウェイ中のアウェイ。自分の席へ向かうのすら、恐くなりました。しかし彼らに敵意のようなものは全くなく、私の日本代表ユニフォームを見ても皆フレンドリーに接してくれました。

トイレに行くために通路を通ろうとすると、「ハポネ(日本人)!」「ジャパン!」「グッドラック!」と、ハイタッチや握手を求められました。ときにはコンパートメントに招かれ、記念撮影をしたり、雑談をしたり、ウォッカを飲まされたり。「長く退屈な時間になるだろう」と思っていた列車の旅は、想像を上回る楽しい時間になりました。

ひときわ盛り上がっていたグループに呼び止められた際、こんな質問を受けました。

「ハポネ、明日は何対何でコロンビアが勝つと思う?」

いくら勝てる見込みが低いとはいえ、コロンビアが勝つ前提になっている質問を真顔でしてくるのです。そのことに若干腹が立ちましたが、この状況で下手なことを言えば相手を逆撫でしかねません。

「2-1でコロンビアが勝つかもね」

と譲ると、「まさか!3-0だね!」「いや、4-0だよ!」と一蹴されました。

しかし、サッカーはおもしろいもので、どちらが勝つかは勝負してみないとわかりません。

日本コロンビア戦_03
スタジアムに向かう道は黄色一色だった

負けても、「今この瞬間」を楽しむ

人口約30万人のサランスクには、ワールドカップの開催がきっかけで多くの建築物ができたといいます。ホテルはもちろん、試合が行われたスタジアム「モルドヴィア・アリーナ」も今年4月に完成したばかりだそうです。

入念なセキュリティーチェックを受けてスタジアムに入ると、やはり客席には黄色の集団が大挙していました。日本人サポーターもゴール裏に固まり、一生懸命声を出しています。しかし、コロンビア代表が勢いに乗ってきたとき、特に直接FKを決めて同点に追いついた瞬間の、地鳴りのような声援の大きさは、日本人サポーターの声とはまるで比にならない迫力がありました。

日本代表の選手たちは、そのような雰囲気の中でも呑まれることなく、立派に戦っていました。そして「コロンビアが勝つだろう」という大方の予想を押しのけ、見事に勝利を収めたのです。

しかし、コロンビアサポーターに対する驚きは試合後にもありました。私は勝利の余韻に浸りながらも、「熱狂的なコロンビアサポーターの一部が暴動でも起こすのではないか」「帰りの電車は無事に過ごせるだろうか」と不安になりました。

日本コロンビア戦_04
試合後、帰路につくコロンビアサポーターたち

それがどうでしょうか。試合後にはコロンビア人のほうから日本語で「オメデトウ!」と言って記念撮影を求めてきたり、サポーター同士でユニフォーム交換をしている人たちがいたりと、会場は信じられないくらい和やかで温かい雰囲気に包まれていました。

スタジアムの外に出てみても、悔しさを滲ませながらも「コロンビア!コロンビア!」と思い切り叫ぶ人々や、音楽に合わせて陽気に踊る人々が目立ちました。負けは負けと認めたうえで「まだ2試合あるさ」と気持ちを切り替えて、「今この瞬間」を精一杯楽しんでいる人たちの多さといったら!

帰り道で知り合ったある日本人サポーターの方は、前回のブラジル大会も観戦したそうで、「日本代表が負けたときは、試合後、お通夜状態でしたよ」と口にしていました。コロンビア人たちの底なしの明るさを見ながら、やはり驚きを隠せないようでした。

日本コロンビア戦_05
熱戦が終わった後も、陽気に踊るサポーターたち

サランスクの中心部に向かう道では、両国のサポーターが一緒になって踊ったり、肩を組んで歩いたりするシーンも見られました。

その頃には、列車内で「4-0だね!」と言ってきたあのコロンビア人に対して言い返したい気持ちも、どこかに消えていました。

「サッカーは平和産業だな」としみじみ感じた、コロンビア戦の舞台裏の出来事でした。

合わせて読みたい

TAGS

この記事をシェア