W杯出場国の「蝶ネクタイ」を自作するデザイナー 「優勝するのは可愛いベルギー」

W杯出場国の「蝶ネクタイ」を自作するデザイナー 「優勝するのは可愛いベルギー」
日本(右下)と対戦するコロンビア(左下)、ポーランド(左上)、セネガル(右上)の国旗をモチーフにした蝶ネクタイ

サッカーのワールドカップの開催に合わせ、出場国の国旗やユニフォームをモチーフにした蝶ネクタイを作って、ひとり楽しんでいるデザイナーがいます。東京・目黒で、自ら立ち上げたファッションブランド「NIRAME.CO(にらめっこ)」の店を構える奥田拓馬さん(34)です。

2014年のブラジル大会の際は、本大会に出場した32カ国の国旗をデザインした蝶ネクタイを作り、着用してテレビでの応援に臨んだという奥田さん。その蝶ネクタイをSNSで公開したところ、フジテレビの情報番組「めざましテレビ」から「衣装として借りたい」と連絡があったのだそうです。

「『めざましテレビ』の軽部(真一)アナは、蝶ネクタイがトレードマーク。軽部さんに自分の作った蝶ネクタイを使ってもらえるなら、日本の蝶ネクタイ界を制したも同然だと思ったんですよね。でも、実際に着けていたのは佐野(瑞樹)アナでした(笑)」

ワールドカップ蝶ネクタイ奥田さん
日本代表のユニフォームをモチーフにした蝶ネクタイをつける奥田拓馬さん

サッカーに打ち込んだ10代の日々

現在、自分でデザインした衣服を販売するかたわら、スタイリストとしても活動している奥田さん。ファッションに興味を持ち始めたきっかけは、サッカーでした。

「子供のころからとにかく目立ちたくて、“ちょけて”(=ふざけて)ばかりでした。小学生のときにJリーグが開幕して、サッカーを見てみたら、キーパーだけユニフォームの色が違う。キーパーって目立てるんだなと思いました」

奥田さんはサッカーの技術を磨き、J2のプロサッカーチーム「ロアッソ熊本」の前身となったクラブチームに所属するほどの実力をつけました。しかし、17歳のときに腰をケガし、プロへの道が閉ざされてしまいます。

そのとき、出会ったのがファッションの世界でした。「『おしゃれをすれば目立てる』という不純な動機」だったと奥田さんはいいます。「おしゃれして街を歩いていたら、雑誌にもとりあげられて。周りのリアクションが気持ちよかったですね」

当時はお金がなかったため、「最後の誕生日プレゼントでいいから」と母親に頼み込んでミシンを買ってもらいました。中学の頃に着ていた学生服を裁断してカスタマイズし、楽しむこともあったとのことです。「ミシンはサッカー用具以外で初めて買ってもらった宝物です」

サッカーに敬意をはらって蝶ネクタイに

地元・熊本のセレクトショップで数年間働いたのち、東京での展示会で声をかけられたのをきっかけに上京。スタイリストとして経験を積むなかで「こんな服屋さんがあったら」という思いから、「女性がほしがるメンズ服」を目指し「NIRAME.CO(にらめっこ)」というファッションブランドを立ち上げました。

それが4年前。前回のワールドカップが開催される少し前のことでした。そのとき、少しでも話題になればと思って作ったのが、国旗柄の蝶ネクタイです。

W杯蝶ネクタイ
前回ワールドカップの際に作った蝶ネクタイ

「これを作った一番の理由は、サッカーに敬意をもっているということです。蝶ネクタイという正装品を身に着けることで敬意を払いつつ、お店のコンセプトである『まじめにふざける』に合わせて、蝶ネクタイを国旗柄にするという“クスッとアイテム”が誕生しました」

蝶ネクタイの本体にゴムをつけ、ヘアアクセサリーとして楽しむ女性もいたそうです。

今回のロシア大会では、サッカー場をモチーフにしたシャツをデザインしました。そこに国旗の蝶ネクタイを合わせて試合を楽しむと、奥田さんは言います。

W杯蝶ネクタイ
今大会のためにサッカー場をデザインしたシャツを作り、日本チームのユニフォームを模した蝶ネクタイを合わせる

蝶ネクタイは、デザインによって異なるものの、ひとつ作るのに1~2時間かかるそうです。ワールドカップのために作るものは、すべて奥田さん自身が手作りします。

「ワールドカップはお祭り。日本代表の試合がある日は休みを取るつもりです(笑)。今大会の日本代表のユニフォームは、藍染めを特に意識したものだと思っています。江戸時代には、作業着から高級衣装まで、あらゆる衣類が藍染めになった時期がありました。だから今回も、老若男女関係なく、みんなでユニフォームを着て盛り上がろうぜ! 日本代表を応援しようぜ! という意味なんだと思っています」

優勝するのはどこだと思いますか? そう奥田さんにたずねると「いちばん可愛いベルギー」とのこと。

「ベルギーには不器用なかわいさがあるんです。タレントがそろっているのに国際大会ではいまひとつ力を発揮できない。そんな『何かが欠けている』がゆえのかわいさといいますか。正直、通ぶってベルギーと言っている部分もあるんですけどね(笑)」

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