「ひとり」はポジティブなイメージになった 「ソロ活」ライターが語る時代の変化

「ひとり」はポジティブなイメージになった 「ソロ活」ライターが語る時代の変化

仲間や家族と一緒にいるのではなく、ひとりで外出し自由気ままな時間を楽しむ「ソロ活」。最近、女性誌で「ソロ活」があいついで特集されるなど、注目されています。

フリーライターの朝井麻由美さんは、2014年に「ソロ活の達人」という連載コラムをウェブメディアで始めました。花火大会、バーベキュー、プラネタリウム、ラブホテル...。誰かと一緒に行くのが当たり前とされる場所に、あえて「ひとり」で赴き、体験をつづっています。2016年には連載をまとめた著書『「ぼっち」の歩き方』(PHP研究所)を出版しました。

プライベートでもひとり行動が大好きだという朝井さん。友達と一緒に遊びに行きたくなることはないのでしょうか? もし友達に食事に誘われたらどうするのか? 朝井さんの「ひとり論」を語ってもらいました。

「ひとりでいるのは間違いじゃない」 

――朝井さんはなぜ「ソロ活」をテーマに執筆しているのでしょう?

朝井:「ひとりで食べてもおいしくないよ」とか「ひとりでいてかわいそう〜(笑)」などという風潮へのアンチテーゼですね。「ひとりでいたって楽しい人もいる」と伝えたいんです。

集団が正しくて、ひとりは間違っているという考え方を前提にしていることって、思っている以上に多い。でも、集団が正しくてもいいけれど、ひとりも正しいんですよね。「私はみんなと一緒にいたい」と主語が自分になっているならいいんですけれど、「誰もがみんなと一緒にいるべき、そうでなければかわいそう」というのは違うと思います。

――「友達と遊びに行きたい」と思うことはありませんか?

朝井:何か目的や利害が一致していれば、集まるのもいいと思っています。たとえば、私も友達も「パスタが食べたい」ということなら、一緒に行けばいい。でも、どちらかが他のものを食べたいなら、わざわざ一緒に行かなくていいんじゃないか、という考え方なんです。ただ単純に「友達と遊びに行く」ことだけを目的にすることはないですね。

――他人に合わせてまで一緒にいたくない?

朝井:そうですし、相手に押し付けたくないとも思っていて。「私に合わせてもらっちゃった?」と落ち込むことがあるんですよ。「本当は他のもの食べたいんじゃない?」って。そもそも、時間をすり合わせるのも好きじゃなくて。「誰かと一緒に行く」よりも、「その場所に行く」のほうが優先順位が高いので、自分のタイミングで行けたほうが幸せです。

――ひとりで美味しい店を見つけたとき、「今度、誰かと一緒に来よう」と思うことはないですか?

朝井:全然思わないんですよね。そういう方がいらっしゃるのは知っているんですが、「なんでだろう」といつも疑問に思っていて……。でも、美味しかったものをSNSに投稿するのはよくやります。「いいね」が多くついたら単純に嬉しいです。

――じゃあ、もし知り合いにコメントで「今度連れてって」と言われたら……?

朝井:うーん、ちょっと嫌ですね……(笑)。予定すり合わせなきゃー、とか、何話そう、気に入ってもらえなかったらどうしよう、とか心配事が大量に頭に浮かんでパニックになりそう。「店の名前書いてるんだから、ひとりで行ってよ」と思うかもしれません(笑)

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「ソロ活」をテーマに執筆している朝井麻由美さん

「ひとり」に目覚めたきっかけ

――朝井さんは学校でも、集団行動が苦手でしたか?

朝井:中高生の頃まではどうしても集団行動をせざるをえなかったですね。特に女子は、教室移動もトイレに行くのも、全部グループ行動です。その風潮に疑問持っていましたが、さすがにそれに逆らってひとりで行動するほどの勇気はありませんでした。集団からハブられているようにみられるのが嫌で、我慢してグループに馴染むようにしていました。

――今のように「ひとりでいる」選択肢がなかったんですね。

朝井:今振り返ってみると「よく頑張ったな」という感じです。実は読者の方々からいただく感想を見ていても、高校生くらいの子が一番切実なのが伝わってきます。中高生って「ぼっち」に一番厳しい環境なのではないでしょうか。

――朝井さんはどこで変わったんですか?

朝井:私の転機は大学時代でした。入った大学(ICU)が個人主義で自由な人が多かったんです。同級生の帰国子女の子が「私、ラーメン好きで、よくひとりで行っちゃう」って言っていたのが印象に残っていますね。今でこそ女性のひとりラーメンもずいぶん増えましたが、当時は世間的にはかなり珍しくて、ラーメン食べたくなったら「誰かを誘わなきゃ」って思っていたんですよ。その子の発言を聞いて「すごくいいな」と思って、私もひとりで行ってみました。それが意識的に「ひとりでどこかに行った」最初ですね。

――仕事も基本ひとりでやっている?

朝井:卒業後は出版社に勤めていたんですが、もともと会社員はあんまり向いてなさそうだなとは思っていました。ご縁があって会社に入ったものの、結局半年ほどでやめて、それ以降はずっとフリーでやっています。今はひとりで取材に行って、ひとりで執筆することが多いです。

――ひとりで仕事をしていて寂しくないですか?

朝井:えっ、寂しくないですよ!えっ!仕事していて寂しいってことあるんですか? あ、でも、そういえば、同業のフリーライターで「家でひとりで仕事をしていると寂しい」と言ってるのを聞いたことがあります。なんでなんだろう……。

――ひとりでやるほうがはかどります?

朝井:私は物音に神経質なところがあり、周りに人がいると気が散ってしまうので、ひとりのほうが集中できます

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「ひとり」はポジティブなイメージに変わりつつある

――「ソロ活の達人」のコラムでは、ひとりで行きづらい場所に行ってみた体験をつづっていますね。読者からはどんな反響がありますか?

朝井:「実は自分もそう思っていました」「よくぞ言ってくれました」という反応が結構きました。「みんな言えなくて我慢していたんだな」と思いました。あと、既婚者の方からの共感の意見も多いんですよ。既婚者の方こそ、ひとりの時間が欲しいと思っているのかもしれません。

――最近「ソロ活」や「ひとり旅」の特集を組む女性雑誌が多くなってきました。世の中の変化を感じますか?

朝井:感じますね。私が書きはじめたのは3年半前ですが、その頃は結構自虐ネタの部類でした。今よりもずっと「ひとり」に惨めなイメージがありましたし。でも、ここ最近は、ポジティブに「ひとり」を捉える流れができている気がします。

――今後も、ひとりでいることのネガティブなイメージを変えていきたい?

朝井:そこまで志を持って、マニフェストを掲げるほど、自分は立派な存在ではないです……(笑)。私の意見を人に押し付けたいわけでもなくて。あくまでも、自分がいいと思ったことを書いているだけなんです。自分の書いたものが結果として、誰かにポジティブな影響を与えられたらいいなと思っています。

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