女装小説家の変身願望「娘には、パパかわいいって言われます」

東京・新宿二丁目の路上に立つ仙田学さん(撮影・岩切卓士)
東京・新宿二丁目の路上に立つ仙田学さん(撮影・岩切卓士)

「ゲイタウン」として知られる、東京・新宿二丁目の路上。白いワンピースをすらっと着こなし、美しく微笑んでいるのは、女装する小説家・仙田学さん(43)です。2002年のデビュー以来、前衛的な純文学小説やライトノベルなどを発表しています。仙田さんは、ふだん「男性」の格好で生活していますが、趣味として「女装」を楽しんでいるといいます。なぜ女装にハマったのか? 周りからの反応はどうなのか? 本音を聞いてみました。

【インタビュー後編】女装小説家が感じる快感「男性としての自分が消える」

自分自身が「理想の女性」になりたい

――女装を始めたきっかけは何だったのでしょうか?

仙田:16歳の頃、付き合っていた女性に勧められたんですよ。彼女は作家の嶽本野ばらさんが好きでした。野ばらさんは男性ですが、スカートなど女性用の洋服をファッションとして着ている。彼女に言われるままに私も女装をしてみたら、しっくりきたんです。

――抵抗なく女性の服を着ることができました?

仙田:そうですね。もともと髪が長くて、女の子と間違えられることもよくあって。あと「グラビアアイドルになりたい」という願望がありました。10代の頃は、女性に対する憧れがあるじゃないですか。でも実際、女性と付き合ってみると、思うようにいかないことも多い。だから、自分自身が理想的な「女性」になって、所有したいと思っていたんです。

女装する小説家・仙田学さん

――最初は彼女に言われてとのことですが、今では自分が楽しむために女装をしていますね。仙田さんの考える女装の魅力とは何でしょう?

仙田:非日常感でしょうか。女装をするのは、変身願望なんだと思います。たとえば、子どもが仮面ライダーやプリキュアになりたいと思う感情に似ているのかもしれません。きゃりーぱみゅぱみゅの「つけまつける」という曲の歌詞にも近いなと思いました。女の子がつけまつ毛をつけることで、可愛い自分に変身できるという曲です。

――たしかに見た目に気をつかって、ファッションやメイクにこだわるのも、ある種の「変身」ですね。そう考えると、身近に感じられます。

仙田:女装が好きだというと、世間的には「性癖」だと思われるんですが、私にとっては普通の「趣味」なんですよ。たとえば、女装する前日からワクワクするし、やっている最中は楽しくて気分が盛り上がる。これは釣りやゲームにハマる人と同じだと思っています。だから「変な色眼鏡で見てほしくない」と思うことがありますね。

女装への偏見がなくなってほしい

――仙田さんには二人の娘さんがいるとのことですが、女装についてはどう言われますか?

仙田:まだ目の前でやってみせたことはないんですが、写真を見せることはあります。「パパかわいい」と言ってくれます。「いつもと違うけれど、パパだとわかる」と。これからは娘たちの前で女装をしてもいいかなと思っています。ただ、近所の目が怖いかもしれません。まだ幼いんですが、もう少し大きくなったら「いじめられたりしないだろうか」と心配します。女装への偏見がなくなってほしいなと思います。

「男性」の格好の仙田学さん

――家族や恋人などに反対されたこともあったのでしょうか?

仙田:元妻やその両親に反対されたことがありました。そのとき、「何か違うな」と思いました。その違和感を自分の中で、ちゃんと説明できるようになりたいと思います。難しいのは、反対する人の自由だってあるということです。本当にやりたいことをやったら、私生活の人間関係を壊すかもしれない。他の人の自由も尊重したいし、自分のやりたいこともやる。それが本当の自由なのかなと思っています。

――女装をしているときは「自由」を感じますか?

仙田:そうですね。私はもともと自己肯定感がすごい低いんですが、女装をしているときは自己肯定感が高まります。鏡に写っている自分をみると、こういう子がいたらセックスしたいって思うし(笑) 私の恋愛対象は女性で、「自分は男性だ」という意識で女装をするので、自分に対して欲情するんですよ。わかりづらい感情かもしれません。女装をやっている方にはいろんなタイプがいます。性自認が女性で、男性を好きになる人もいます。一言で女装といっても、その中のグラデーションはすごく豊かなんです。

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